2020 Fiscal Year Research-status Report
Actovity of slow earthquakes in the Tokai region based on analog seismograms
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19K04044
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
松澤 孝紀 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震津波火山ネットワークセンター, 主任研究員 (90500744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 哲也 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震津波火山ネットワークセンター, 主任研究員 (80455253)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スロー地震 / アナログ記録 / テクトニック微動 |
Outline of Annual Research Achievements |
防災科学技術研究所が運用していた関東東海地殻活動観測網による地震波形記録は、記録紙上のアナログ波形記録として保管されている。これを用いて東海地域におけるスロー地震の一種であるテクトニック微動(あるいは、深部低周波微動。以下、微動)の長期の活動状況を把握し,議論することが本課題の目的となる。2020年度は愛知県下山観測点の地震波形記録を目視で確認することで、1988年~1991年の微動活動状況を調査した。これにより同時期に東海地域で発生した長期的スロースリップイベントと同期して活発化した微動の活動状況が明らかとなった。これまでの成果を併せ、同地域の約11年分の活動状況をまとめて、JpGU-AGU Joint Meeting 2020にて発表した。さらに、アナログ記録の画像化作業を進めるとともに、画像化された波形記録をデジタル波形データに変換するプログラム(自動デジタイズプログラム)の開発を実施した。このプログラムの性能を評価するため、実際の防災科研Hi-netの地震波形データをもとにアナログ波形記録を疑似的に作成することとし、画像化作業を進めているファイルに類似した画像を準備した。これに自動デジタイズプログラムを適用したところ、10Hz以上の高周波帯域の情報は減衰するものの、10Hz以下の帯域では疑似記録を作成したデジタル波形に近いスペクトル形状を示した。波形振幅が小さい領域ではおおむね元波形をうまくデジタイズできているものの、大振幅の箇所においては、隣接する波形の混入の影響がみられ、正しく波形を抽出できなかった。また、アナログ波形記録に存在する、時間ティックマーク情報の影響除去、スキャン時の画像の回転補正等が今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行に伴う対策により、研究環境に大きな変化があった。とくに年度前半については、研究施設への立ち入りが抑制されたため、波形記録の電子化作業に遅れが生じた。このため、年度末時点では当初計画していた電子化作業を完了したものの、作業の遅れに伴いデータ解析にも遅れが生じた。また在宅勤務が大幅に増加したが、在宅環境では手動でのデジタイズ作業が難しいため、昨年の報告書記載のとおり方針を変更し、自動デジタイズプログラムの作成を実施した。しかしながら研究実績に記載したように、未だ解決すべき課題が残っており、これも遅れの一因となっている。加えて、成果発表を予定していたワークショップが延期となった他、学会・ワークショップのオンライン化により意見交換機会が減少しており、当初想定していた研究活動が一部実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
自動デジタイズプログラムには課題が残るため、解決を試みつつ、実際のアナログ波形への適用を実施する。2021年度は計画最終年度の予定であり、研究成果のとりまとめに取り組む。手動デジタイズ作業から自動デジタイズ処理へと手法を変更をしたため、少ないアナログ波形を高品質にデジタイズする方針でなく、多量のデータをある程度の精度で解析する方針が適切となった。そのため、当初計画で必要に応じて実施することとしていた追加のアナログ記録の画像化作業を実施し、自動デジタイズ解析可能なデータを増やすことを目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、出席を検討していた学会・ワークショップがオンライン開催、あるいは中止・延期となったため、次年度使用額が発生した。今後もコロナウイル感染症の流行継続が予想されるため、旅費への使用計画を見直し、当初計画で必要に応じて実施する予定としていた追加の画像化作業に充てる。
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