2020 Fiscal Year Research-status Report
地質学的アプローチによる新しい断層バルブモデルの構築
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19K04046
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大坪 誠 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (70443174)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 海溝型地震 / 流体 / 応力 / 南海トラフ / 断層 / クラック / 石英 |
Outline of Annual Research Achievements |
南海トラフの浅い深さにおける現代の巨大分岐断層のアナログである,延岡衝上断層周辺に露出した石英脈を対象に,i)間隙水圧の低下,ii)地震後の期間における亀裂形成による断層強度回復の程度について,2019年に引き続き野外調査および薄片観察等によって検討を行った. 伸張性の石英脈形成の多孔質弾性モデルを用いたところ,伸張性亀裂の形成は最大8 kmの深さで全間隙水圧の最大で数%しか解放しないことを示し,延岡衝上断層付近の間隙水圧は地震サイクル全体を通して静岩圧に近かったことが明らかとなった. これは地震後の伸張性亀裂による間隙流体圧力の低下が巨大分岐断層の断層強度を増加させるのにほとんど寄与しない可能性を示すものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野外調査や薄片観察および関連する研究打ち合わせを予定通りに進めた結果として,明らかとなった延岡衝上断層を対象とした地震後の断層強度回復量について,国際誌(Scientific Reports誌)にて公表した. 2020年度の成果は,2021年度に取り組み始める南海トラフプレート境界での地震後の断層強度回復量に関する検討への基礎材料とすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の成果を踏まえて予定通りに進める.新型コロナウイルスの感染拡大防止を踏まえて,他機関の研究者との打ち合わせは可能な限りオンラインで行うことを検討する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の状況が続き,(1)参加を予定していた国際学会が現地開催からオンライン開催に切り替わったために国際学会参加のための旅費を使用することができなかった,(2)海外研究機関(米国地質調査所)への研究打ち合わせが実施できなかったために米国への旅費を使用することができなかった,以上の理由により執行予定の予算を翌年度に繰り越すこととなった.
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