2023 Fiscal Year Annual Research Report
太古の環境と微生物復元につなげる温泉成シリカ堆積物の長期観測
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19K04058
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
高島 千鶴 佐賀大学, 教育学部, 准教授 (10568348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狩野 彰宏 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (60231263)
奥村 知世 高知大学, 海洋コア総合研究センター, 准教授 (90750000)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シリカ堆積物 / 縞状組織 / 微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は主に温泉成シリカ堆積物中のミクロオーダーの縞状組織の周期について検討を行った.夏季に生成される有色層に発達するミクロオーダーの縞状組織は,緻密な結晶の層と薄い有機物の層で構成される.今年度採集したサンプルと過去に採集した計7サンプルについて,薄片を作成し,ミクロオーダーの縞状組織について組織観察を行った.その結果,縞の本数や間隔にばらつきが見られることから,定期的な周期を反映したものではないことがわかった.そこで,有色層にはフィラメント状微生物が確認され,下流には光合成細菌が存在することから,微生物代謝が関係しているのではないかと推測した.これまで行ってきた堆積速度実験から計算した1日に堆積する厚さ,各試料の採集日,及び縞の間隔から,有機物の層が形成された日を特定し,気象庁の各年の日ごとの日照量データと比較した.縞は夏時期の日照量の比較的に少ない期間に生成している傾向が見られた.しかし,微生物代謝に影響する要因は降水による水質変化なども考えられるため,今後微生物種の特定とともに検討を行う. 数年に及ぶシリカ堆積物の堆積速度実験によって,異なるスケールの縞状組織の特徴や周期を明らかにすることができた.まず,有色層と白色層からなるミリオーダーの縞状組織は季節変化に対応した長期的な微生物の応答を反映したものである.おそらく,季節による流出後の水質変化やもしくは異なる微生物種の交代などが考えられる.有色層に発達するミクロオーダーの縞状組織は不定期な周期を示し,周辺環境に応対した短期的な微生物代謝を反映していると考えられる.これらの結果は,未だ不明な点が多い,先カンブリア時代に堆積した縞状鉄鉱層やストロマトライトの生成過程や縞状組織の周期の解明に繋がる.
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