2021 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類の島嶼小型化の生態学的メカニズムとプロセスの解明:古生物学と生態学の融合
Project/Area Number |
19K04060
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
林 昭次 岡山理科大学, 生物地球学部, 講師 (60708139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 麦野 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 講師 (10582760)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 哺乳類 / 島嶼化 / シカ類 / 成長様式 / 齢査定 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である2021年度は論文投稿のために1)狩猟圧がもたらすシカ類における成長パターンの変化、2)他の地域(特に海外)における島嶼哺乳類の成長パターンのデータと本データの比較を行った後に、3)論文原稿の作成を行った。さらに、今回特に顕著に成長パターンが変化していた琉球列島の4)他の哺乳類の成長パターンについても本研究のシカ類で観察されたような結果が得られるか予察的に観察も行った。詳細は以下の通りである。 1)狩猟圧の影響でシカの成長パターンに変化がみられるか観察するため、狩猟圧がある千葉県の個体群と、狩猟圧が全くない宮城県石巻市の金華山に生息する個体群の成長パターン・生存曲線を解析し、比較した。その結果、日本に生息するニホンジカは狩猟圧の影響で成長パターンに顕著な変化が見られない傾向があることが明らかとなった。 2)公表されているデータをまとめ、他の海外地域における島嶼哺乳類の成長パターンのデータをレビューしたところ、本研究結果と同様に島の面積と隔離期間にともなって成長パターンに変化が観察される傾向にあり、本研究結果を支持するデータを得ることができた。 3)論文原稿は完成し、論文投稿の段階までもっていくことができた。 4)アマミノクロウサギなど長期間他の地域から隔離された動物の成長パターンを骨組織から解析したところ、本研究で得られたシカのデータ同様に、大陸・本州のウサギ類と比べて非常に成長が遅くなっていることが予察的に明らかになった。従って本シカ研究で得られた島での隔離期間に伴って成長パターンに変化がみられるといった結果は他の島嶼哺乳類でも同様に起こっている可能性が高い。
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