2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K04064
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Research Institution | Okinawa Churashima Foundation |
Principal Investigator |
冨田 武照 一般財団法人沖縄美ら島財団(総合研究センター), 総合研究センター 動物研究室, 研究員 (90774399)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 胎仔便 / 方解石 / 授乳 |
Outline of Annual Research Achievements |
現生板鰓類の中には、胎仔が子宮表面から分泌されるミルクを摂取して成長する仕組みを持つ仲間が存在する。この「子宮内授乳」の仕組みの起源を明らかにするのが本研究の目的である。 前年度の研究によりミルク摂取を行う胎仔腸内には炭酸塩の結晶が含まれ、この結晶の有無が化石種における胎仔のミルク摂取の有無の指標になることが示された。この仮説を証明するため、本年度この炭酸塩結晶の形成メカニズムに関する研究を行なった。アカエイ胎仔の腸の組織切片の観察と、炭酸塩結晶の形態および結晶種の特定から腸内細菌による形成が疑われた。もしこのメカニズムが本当であれば、ミルク摂取を行う板鰓類の胎仔は腸内細菌の助けを得てミルクを行なっている可能性がある。 胎児便に含まれる細菌が含まれるかどうか調査を行うために、まず大人の便を用いた予備実験を行い、手法の確立を行なった。沖縄周辺で捕獲、および水族館で死亡したオナガザメ、トラフザメ、フジクジラの腸を摘出し、糞便をそのまま塗りつける、腸壁を擦り付ける、糞便を純水に溶かした溶液を用いる、など複数の条件で腸内容物に含まれる細菌の培養をウリカルトを用いて行なった。その結果、腸内容物を純水などで溶解することなく、直接糞便をスワブで塗りつける方法で細菌の検出が可能であることが分かった。またシードスワブを用いると検出に失敗することがあることも明らかとなった。同様の方法により、ミルク摂取を行う種類の胎仔の腸内細菌を有無を確定することが今後のステップとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の進行において、授乳を受ける胎仔のサンプリングが不可欠である。特に胎児便に含まれる細菌の検出には、標本の鮮度が良く、腸サイズが大きいため分析に必要な糞便量の採集が容易な気仙沼で漁獲されるネズミザメの調査が最適である。しかし、コロナウィルス蔓延の影響で、2020年度に複数回予定していたサンプリングを全て中心せざるを得ず、研究に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に引き続き、コロナウィルス蔓延の国内情勢を見極めつつ気仙沼でのネズミザメのサンプリングを目指す。同時に、遠隔でのサンプリングを可能にするため現地での協力者の確保に努める。さらにネズミザメの代替種を検討するため、エイ類など、授乳を行う板鰓類の沖縄での採集を行う予定である。得られた胎児便のサンプルについては、前年度に確立した手法に基づき細菌の有無を確定させる他、哺乳類新生児などと比較することでミルク消化に関わる細菌種が含まれるかどうかの解明を目指す予定である。 以上までの結果を元に、胎仔便中の結晶と授乳の関係性および化石種への適用の可能性について議論する論文の執筆を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス蔓延に伴い、計画していた宮城県での複数回のサンプリング調査が中止を余儀なくされたため。次年度は、引き続き宮城県でのサンプリングを計画すると同時に、リモートでのサンプリングの協力関係の構築を検討している。また、次年度の県外調査が制限される可能性を鑑み、沖縄県での乗船調査によるサンプル取得を計画している。
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