2020 Fiscal Year Research-status Report
Adaptive Robust Control of Stress Oscillations in Nonhomogeneous Plates Composed of Functional Materials
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19K04076
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
芦田 文博 島根大学, 学術研究院理工学系, 教授 (60149961)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 不均質平板 / 磁歪材料 / 動的弾性問題 / 特性曲線法 / 応力振動 / アクチュエータ機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
磁歪材料と構造材料とで構成された不均質平板に一定な衝撃圧力が作用し,かつ平板の表面間に一定な磁位差または平板に一様な磁界の強さが作用した場合の動的弾性順問題を,特性曲線法を適用して数値解析し,磁位差または磁界の強さが非定常応力振動の時間的経過に及ぼす影響について調査した.ただし,不均質平板の組成分布はべき乗則に従うものと仮定した. 不均質平板に一定な磁位差を印加した場合,磁位差が大きくなるのにつれて,非定常応力振動の振幅は小さくなり最小に至ったのち,逆に大きくなることが分った.つまり,非定常応力振動を抑制するために印加する磁位差には最適値が存在することが示された.そこで,試行錯誤法によって,体積分率のべき乗値に対して最適な印加磁位差を求めたところ,両者はほぼ線形関係になった.この結果に基づき,体積分率のべき乗値から非定常応力振動を抑制する最適印加磁位差を直接求める一次式を導いた.なお,磁位差は衝撃圧力に対する反作用となるため,磁位差による非定常応力振動の抑制効果は印加した直後から現れ持続する.しかし,磁位差は応力振動の周期に合致するように印加しなければならず,また印加が遅くなるのにつれて非定常応力振動の抑制効果は乏しくなることが判明した. 不均質平板に一様な磁界の強さを印加した場合,磁界の強さは運動方程式における減衰項に含まれるため,非定常応力振動は時間の経過につれて徐々に減衰し,磁界の強さが大きくなるのにつれて減衰効果が顕著になることが分った.従って,印加する磁界の強さは可能な限り大きい方が望ましい. 磁界の強さによる非定常応力振動の減衰は,磁位差によって抑制する場合のように,即効的でない.しかし,磁界の強さは大きい方がまた印加は早い方が減衰効果は顕著になるものの,印加する際に特別な条件がないため,磁界の強さによる減衰効果はロバスト性が優れていることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究実施計画では,令和元年度中に,不均質平板において力学的インピーダンスが厚さ方向に変化しない場合つまり定常応力振動が生じる場合と,力学的インピーダンスが厚さ方向に変化する場合つまり非定常応力振動が生じる場合とについて,表面間に生じた電位差の時間的経過を比較検討し,定常応力振動の発生と非定常応力振動の発生を区別できるようにセンシング機能を補完する予定であったが,実施できなかった.そこで,令和2年度に実施するように研究計画を変更したものの,新型コロナ感染症の流行によって研究活動が制限されたため,一部しか実施できなかった.ただし,令和2年度は主に非定常応力振動を抑制するアクチュエータ機能の発現に関する研究を実施したため,研究計画の変更による支障はなかった.なお,定常応力振動の発生と非定常応力振動の発生を区別できるようにセンシング機能を補完する研究は令和3年度に行う予定である. 得られた研究成果は,国際学術会議で発表して討論を経た後に,論文にまとめて投稿する予定であったが,新型コロナ感染症の影響で国際学術会議が延期になったことから,公表が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は,先ずこれまでに実施できなかった定常応力振動の発生と非定常応力振動の発生を区別するセンシング機能に関する研究を行い,令和元年度に行った非定常応力振動の発生を検知するセンシング機能についての研究成果を補完する. 次に,当初の研究実施計画に沿って,圧電材料と磁歪材料で構成された不均質マルチフェロイック複合平板を解析モデルに,上記のセンシング機能の発現に関する研究と令和2年度に行った非定常応力振動を抑制するアクチュエータ機能の発現に関する研究を組み合わせて,不均質平板に未知の衝撃負荷が作用した場合の動的弾性逆問題を解析し,磁位差の印加によって非定常応力振動を適応的に制御する手法を確立する. さらに,同じ解析モデルを対象に,磁界の強さの印加によって非定常応力振動を適応的に制御する手法を確立する.併せて,磁位差を印加した場合と磁界の強さを印加した場合の適応的制御結果を比較検討し,磁界の強さによる適応的制御のロバスト性を評価する. 最後に,令和3年度は本研究計画の最終年度に当たるため,非定常応力振動の適応的ロバスト制御についての研究成果を取りまとめる.
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の影響で,令和2年8月にイタリアのミラノで開催が予定されていた国際学術会議が延期になったことなどから,54万円余りの残金が生じた. この残金と令和3年度の交付金を合わせ,研究成果発表旅費,参加登録費および消耗品の購入費などに充てる予定である.
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