2021 Fiscal Year Research-status Report
データ同化を用いた複合材料の分子シミュレーションと現実系の乖離の解消
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19K04077
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松崎 亮介 東京理科大学, 理工学部機械工学科, 准教授 (20452013)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 複合材料 / 分子シミュレーション / 硬化 / 結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では複合材料の分子シミュレーションと現実系の乖離の解明とその低減を目指し,(1) 高分子系複合材料の分子シミュレーションと現実系の乖離要因とその影響を,定量的に明らかにする,(2) 分子シミュレーションにおける乖離の主要因となるパラメータと実験値を,データ同化を活用し融合することで,実験との乖離の少ないパラメータ同定法を構築することを目的として設定した.これまでに,乖離検討対象である炭素繊維表面と熱硬化性樹脂の界面の分子シミュレーションモデル化に関する検討を行った. 今年度は,近年利用が拡大している熱可塑性樹脂を対象材料として,樹脂の固化挙動の実験(現実系)と分子シミュレーションの両面から解析を進めた.実験では,複数の結晶性樹脂PEEK,PP,PPS,PETを用いて炭素繊維近傍の溶融固化挙動を観察した.結果,炭素繊維に対して垂直方向に発生している結晶(トランスクリスタル,TC)が見られた.これは,炭素繊維表面が結晶核となり,垂直方向に発達しているものと考えられる.結晶化保持時間ゼロでもTCは発生しているが,樹脂種の違いによりTC厚さが異なることがわかった. さらに,分子シミュレーションを用いて,炭素繊維近傍の熱可塑性樹脂溶融固化過程を解析した.炭素繊維はグラファイトで,熱可塑性樹脂はiPP樹脂によりモデル化した.溶融固化過程を再現した結果,視覚的に結晶化構造を確認することはできなかったが,溶融固化による密度増加は確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに,熱硬化性樹脂,熱可塑性樹脂の分子シミュレーションと現実系の両面からデータを蓄積できた.一方で,新型コロナウィルスの影響もあり,実験データの蓄積等に時間がかかった.
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Strategy for Future Research Activity |
熱硬化性樹脂の硬化挙動を対象として,実験とシミュレーションの融合を検討する.
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Causes of Carryover |
今年度は学会参加旅費が発生しなかった.次年度,実験,解析のための消耗品費として使用する予定である.
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