2020 Fiscal Year Research-status Report
Damage prediction of very high cycle fatigue of high-capacity battery electrodes based on multi-scale modeling
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19K04078
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
小林 志好 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (90295014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 喜直 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (20581789)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 機械材料・材料力学 / 疲労 / 二次電池 / マルチスケール / マルチフィジックス |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究実施計画では,課題となっていた微視的な損傷過程の観察とシミュレーションとの関連付けを試みるために,疲労試験を途中で中断し,そのときの活物質膜の観察を予定していた.しかしながら,2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響に伴い,研究室の利用が制限されたため,当該試験をほとんど実施できなかった.そこで,研究室外にて,これまでに取得した疲労試験データの精査と必要なデータを取得するための試験方法の再検討を行った.これまでに取得した試験データのうち,単軸引張による疲労試験データを精査したところ,試験中に巨視的なき裂の進展は見られず,1サイクル内で破断した.変位制御での疲労試験では,繰返し数に対して,1サイクルごとに最大応力が低下する傾向がみられた.荷重制御での疲労試験では,繰返し数に対して,1サイクルごとに除荷直後の残留変位が増加する傾向がみられた.また,残留変位は,繰返し数がおおよそ100回以下の間に急峻に増加していた.このことから,活物質膜において,初期段階で比較的大きな塑性変形が生じ,その後,微視的な疲労損傷が進むと考えられる.疲労試験後の試験片の組織観察写真からは,試験前には見られなかったバインダーが疲労損傷している様子が確認された.したがって,繰り返し荷重を与えた際にバインダーが破断していくことがわかった.一方で,バインダーが明確に塑性変形している様子を確認するには至らなかった.以上を踏まえると,疲労の初期段階で活物質をつないでいるバインダーの中でも,特に弱い部分が先に破断し,その後,残ったバインダーが荷重を支えるが,やがてそのバインダーも疲労損傷していき,ある段階で荷重を支えきれなくなると,巨視的な破断に至ると考えられる.2019年度および2020年度は主に低~中サイクルの疲労を対象としたが,高~超高サイクルにおける疲労現象の調査は今後の課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究室の利用が制限されたため,これまでの疲労試験結果の検証および超高サイクル疲労損傷予測のための実験をほとんど実施できなかった.これに代わり,これまでに取得した疲労試験データの精査と必要なデータを取得するための試験方法の再検討を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に実施できなかった中断試験をはじめとする各種実験の再開を予定している.具体的には,2019年度に取得できた疲労試験データから活物質膜の疲労損傷過程を定性的に把握できたので,定量的な疲労損傷予測に必要な中断試験等の各種実験を実施していく予定である.
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響に伴い,研究室の利用が制限されたため,当初予定していた実験をほとんど実施できなかった.残額はすべて2020年度に実施できなかった実験の遂行に必要な試験器具および試験片材料費に使用する予定である.
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Research Products
(4 results)