2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of a multi-scale optimization method for resin infusion molding of fiber-reinforced composite materials
Project/Area Number |
19K04092
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
矢代 茂樹 九州大学, 工学研究院, 教授 (00452681)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 繊維強化複合材料 / 樹脂含浸成形 / 樹脂流動解析 / 粒子法 / ボイド |
Outline of Annual Research Achievements |
繊維強化プラスチック(FRP)の樹脂含浸(RTM)成形は,最有力な脱オートクレーブ成形法だが,成形プロセスに依存して材料内部に空孔(ボイド)が形成され,成形後の機械的特性や強度に影響を及ぼす。成形プロセスに起因するボイドの最小化が実構造への適用における技術課題である。 本研究では,RTM成形における最適成形プロセスを予測するマルチスケール成形解析技術の確立を目指している。具体的には,繊維束への樹脂流動・ボイド形成に関するミクロスケール解析から浸透率と最適成形条件の情報を抽出し,マクロスケールの樹脂含浸解析に適用する。 その第一歩として,2019年度では,繊維束への樹脂の含浸プロセスを予測するミクロスケール流動解析の開発を行った。粒子法の一種であるSPH (Smoothed Particle Hydrodynamics)による流動解析を構築した。非圧縮性の樹脂の流れの過程で取り込んでしまったボイドが樹脂の圧力によって圧縮されることを再現するため,圧力を算出する状態方程式を工夫し,気液二相流と気体の圧縮を解析できることを確認した。さらに,樹脂の表面張力と樹脂/繊維材料(ガラスやグラファイト)間のぬれ性を再現するべく,粒子間ポテンシャルをSPHに導入した。初期状態において四角形状にした液滴が表面張力によって円状に変形する様子を再現でき,粒子間ポテンシャルが適切に動作することを検証した。 最後に,表面張力と接触角を測定する実験装置を導入した。水の表面張力とガラスに対する水のぬれ性を測定した。表面張力やぬれ性は文献に報告されている値と同程度になり,これらの値を測定できる環境を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では,粒子間ポテンシャルモデルの検証とボイド含有率を最小化するキャピラリ数の最適値の予測まで行う予定だったが,粒子間ポテンシャルモデルを導入することによって解析が不安定化してしまうことが多々あり,この対策で時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず,複合材の成形で代表的なガラスやグラファイトに対する各種オイル(粘度が既知,エポキシ樹脂に近いもの)のぬれ性と表面張力を計測する。実験と対応する粒子法の解析を行い,粒子間ポテンシャルモデルのパラメータを特定する。その値をもとに,繊維束の微視構造を明示的に表した解析モデルを作成し,樹脂流動とボイドの形成を予測する。複数の解析条件(樹脂の流入速度,粘度,表面張力,繊維との接触角)で樹脂の含浸解析を行う。数値解析で予測したボイド含有率とキャピラリ数の関係から,ボイド含有率が最小化となる最適なキャピラリ数を特定する。 次に,多数の繊維が流動垂直(T)および平行(L)方向に並んだ繊維束微視構造をモデル化し,繊維束まわりの樹脂流動を予測する。圧力勾配と平均流速の関係から繊維束単位の浸透率KTとKLを予測する。織物基材に対し,浸透率モデルの経繊維束と緯繊維束の局所浸透率にミクロスケール解析の予測値を適用することで,基材のマクロ浸透率を解析的に算出する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額(B-A)は5,870円でほぼ計画通りに研究費を執行しており,無理に使い切る必要はないと判断した。
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