2021 Fiscal Year Research-status Report
テーブルの浮上支持と精密位置決めをスクイーズ効果で可能にする微動機構の開発
Project/Area Number |
19K04106
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
田丸 雄摩 九州工業大学, 大学院工学研究院, 助教 (30284590)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スクイーズ効果 / 位置決め / 微動 / 非接触支持 / ピエゾ素子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はスクイーズ効果によって非接触での位置決めを高精度に達成させることである.テーブル両側部に傾斜を設けてくさび状に支持することで剛性を確保している.そこで傾斜角度が8°,10°,12°の3種類のテーブルを製作して傾斜角度による支持性能や微動性能を評価する.スクイーズ効果は加振面と被加振面相互の平行度が重要だが,加工や組立によって平行度のずれが問題になる.そのため平行度調整によってそのずれを修正するが,試行錯誤的な手法で調整するのでテーブルごとの平行度の差が生じると考えられる.したがって微動性能にも傾斜角度に加えて平行度による違いが表れると予測される.そこで今年度は微動試験のうち,長ストロークでの試験と評価を主眼とした. 見積変位の算出についてはかねてより検討してきたが,今回,確定的な手法を編み出すに至った.これにより試験で得られた実際の微動変位と見積変位を比較評価する有用性を高めることができた. 微動試験は加振機構(ピエゾ素子)へ電圧を階段状に印加するステップ応答で実施した.電圧は許容最大値まで印加し,テーブルの最大変位を調べた.電圧の増減でテーブルは左右両方向に微動するが原理的には左右で変位は等しくなる.しかし,傾斜角度8°では左右の変位に違いが生じた.これは平行度の差が影響したと推察する.またいずれの傾斜角度においても実際の変位は見積変位に対して0.6~2.3倍となった.見積変位は幾何学的な計算手法に基づいており,より精度を高めるためにはメカニズムの解明が必要である.一方,微動変位は加振振幅が低い領域では大きく,高い領域では小さくなった.これは加振振幅に対する浮上変位の変化率が関わっていると考えられ,見積変位でも同様の傾向を示す.つまり定性的には実際変位と見積変位は一致する特性が表れた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は変位分解能を調べる計画だったがテーブルの全変位を評価する長ストローク微動において見積変位を新たに算出する手法の検討で相当の時間を要した.また,微動変位を計測する試験環境の設定や試験自体においても試行錯誤を要したため本年度は変位分解能を調べる高分解能微動試験は実施せず,長ストローク微動試験を中心に行った. 計画していた試験課題が一つ実行できなかったことになるが,研究を進捗させる過程で新たに微動変位を推定できる見積変位の算出手法を編み出せたことは成果である.変位分解能を調べる高分解能微動試験は研究期間延長の最終年度に実施する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
高分解能微動試験を実施し,位置決め性能を評価する予定である.微動は長ストロークと同様にステップ応答によって行い,階段状変位を識別可能なごく低い電圧をピエゾ素子に印加する. 一通りの位置決め性能試験と評価がまとまったため国際学会での発表を計画している.また,本研究課題と共通の特徴を有する位置決め機構の研究成果について論文投稿を予定している.
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Causes of Carryover |
例年参加している学会がCovid-19の影響で中止およびリモートでの出席となり旅費の支出がなかった.消耗品であるピエゾ素子を実験使用での故障に備えて予備を確保する予定だったが品不足により納期が相当に延長され納品を断念した. 次年度は学会が対面で実施される予定であり,参加旅費の支出を計画している.ピエゾ素子の購入や実験装置の改造,治具材料などの費用を計上する.
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Research Products
(2 results)