2019 Fiscal Year Research-status Report
Production of crystallographically-aligned piezoelectric thinfilm by nucleation-controlled hydrothermal synthesis and its evaluation
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19K04108
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
諸貫 信行 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (90166463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 新 首都大学東京, システムデザイン研究科, 准教授 (30347273)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 水熱合成 / 二酸化チタン / チタン酸バリウム / 圧電材料 / 結晶配向 / 結晶成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
原料溶液を密閉容器に入れて一定時間加熱することで材料作成を行う水熱合成法を用い,チタン酸バリウム圧電薄膜の作製技術の確立を試みた.まず,四塩化チタンを主原料とする水熱合成で二酸化チタンを合成した.この時,二酸化チタンと格子定数が近いFTO(フッ素ドープ酸化錫)を基板として用いることで,基板から垂直に配向したロッド状の構造が基板上に林立して得られた.次いで,水酸化バリウム溶液中で2度目の水熱合成を行って構造中のチタン原子の一部をバリウム原子に置換してチタン酸バリウムとした.2時間の反応の場合,構造の高さは3-4ミクロン程度であった. X線回折法で結晶構造を調べたところ,チタン酸バリウムと二酸化チタンが混合した構造となったものの,良く配向した構造であることが確認できた.しかし,チタン酸バリウムの割合が十分には高くならず,改善の余地を残した. 水熱合成法の課題として密閉容器内の温度と圧力が正確に把握できず,再現性に欠けることがある.これを解決するため,圧力・温度ロガーを容器内部に入れてモニタリングしたところ,加熱用オーブンの設定から大きく遅れて温度・圧力が上昇することがわかった.真の温度・圧力により条件を特定することで再現性を確保することができると考えられる. なお,FTOは導電性を有するため,これを基板とすることで構造を支えるだけでなく電極の片側にすることができる.また,発電デバイスを高効率化するためには所望の場所に構造を設ける必要があり,フォトリソグラフィ技術を用いてフォトマスクで不要な部分を覆うことで所望のパターンの二酸化チタン構造を設けることを予備的に実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所望のチタン酸バリウム構造が得られ,さらに,再現性の高い結果を目指して密閉容器内の圧力と温度をモニタリングして管理できるようになったことの意義は大きい.
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Strategy for Future Research Activity |
二酸化チタンをチタン酸バリウムに変換する2段階目の水熱合成について条件設定を見直し,チタン酸バリウムの割合を高めるための条件を明らかにする.その際,今年度進めた容器内の温度・圧力モニタリングの成果が活用できると考えられる. チタン酸バリウム薄膜の圧電特性の評価は次年度行う予定であるが,厚さ数ミクロンの膜の表裏に電極を設けなければならない等の課題がある.フッ素ドープ酸化錫(FTO)基板は導電性があるためこれを片方の電極とし,他方の電極として導電性テープを貼りつけて用いることを以前に行っており,同様の方法で課題解決を図る.得られる信号が弱く測定限界に近いことも想定される.その場合は,積層を行って電気容量を増して評価を行うことを検討する. 複雑なモードで振動する構造から効率的な発電を行うためには,振動の「節」ではなく「腹」に相当する部分に圧電薄膜を配置すべきである.平面構造のどの部分にどのようなパターンでこれを設置するかについては,振動モードの解析などを行って事前に検討することができる.この問題を含め,現時点で想定できる課題については計画の最終年度を待たずに検討に着手する予定である.
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Causes of Carryover |
当初考えていた実験装置・方法を精査し,安価な方法に切り替えたため,残額が生じた. 次年度に予定している特性評価では当初予定していなかった新たな材料や道具類の購入が必要であり,これに充当する予定である.
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Research Products
(5 results)