2019 Fiscal Year Research-status Report
Odd-shaped hole drilling with a polarized laser beam
Project/Area Number |
19K04109
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
菊田 久雄 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10214743)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | レーザー加工 / 偏光 / 異形穴 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初は石英板の表面に微細構造を設けた構造複屈折型の偏光変換素子を自作する予定であった。しかし、水晶複屈折板が100mWのフェムト秒パルスレーザー光に対して耐光性があることが実験により判明したので、水晶による分割偏光変換素子を購入することで、研究進捗の効率を向上させた。研究者は、水晶性の分割偏光変換素子を設計し、設計仕様にしたがった素子を光学メーカーに外注した。 作製された偏光変換素子を利用して、0.1mm厚のステンレス板、および、銅板に1辺50umの四角穴が形成できることを確認した。その他の加工材としてホウ珪酸ガラスやポリイミド・シートへの穴加工を試みたが、四角穴は得られなかった。これらの材料は光透過性が高く、かつ、熱伝達率が低い。偏光に対するアブレーションのメカニズムが金属材料と異なる可能性がある。 十字穴加工のための位相差素子を作製した。またこれを水晶性分割偏光変換素子と組み合わせることで角の丸い十字形の光強度分布をもつビームが得られることを確認した。ステンレス板への加工を試みたが、ビームが十字形になることで単位面積当たりの光エネルギーが低くなりすぎて加工穴が得られなかった。集光レンズの焦点距離をより短いものに変更して光エネルギー密度を高くする必要があることが分かった。 その他、偏光を考慮したレーザ加工のシミュレータを改良した。とくに、材料除去のルールを材料の蒸発に必要なエネルギーを基準にするものから、吸収される光強度の減衰と加工閾値を基準にするものに変更した。これにより、実際に得られる加工穴の加工条件とシミュレーションがより良く一致するようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)偏光変換素子を自作することを予定していたが、100mWのパルスレーザでは従来の水晶複屈折板が利用できることが分かり、偏光変換素子を購入することに変更した。素子を外注している期間中に加工シミュレータを改良することができ、シミュレータの予測精度が向上したことで、より詳細な検討を行うことが可能になた。 (2)金属部材と異なる材料での試験的な加工実験は予定通り実施できた。 (3)十字穴の形成においては、設計通りのビーム形状を得ることができた。一方、ビームのエネルギー密度が低くなり過ぎて加工できないことが分かった。原理的には集光レンズの焦点距離を短くすれば解決できる話であるが、レンズ等の光学素子の配置方法に大きな改造が必要になる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ダイヤモンド材への四角穴加工 光透過性が高く、かつ、熱伝達率が低い部材では偏光の影響が顕著に現れず、丸い開口の穴になった。次年度は、光透過性と熱伝導率がともに高いダイヤモンド材への加工を試みる。これにより、熱伝導の低い材料における偏光の影響を明らかにする。 (2)レーザー加工装置の改造 十字穴形成のためにはよりエネルギー密度の高いビームが必要になるが、現在のレーザーの出力強度を上げるには限界がある。そこで、ビームを絞るための集光レンズの焦点距離を短くすることでビームのエネルギー密度を高くする。焦点距離の短いレンズを利用するには偏光変換素子とレンズ間の設置距離も短くする必要があり、現在の実験装置では対応できない。そのため設置距離を自由に変更できるケージシステムによる光学装置に変更する。 (3)ビーム強度が加工形状に与える影響の検討 ビーム強度によって加工穴の形状が異なり、四角穴を得るためには適当なビーム強度を設定する必要がある。偏光を考慮したレーザ加工シミュレータを用いて、その原因および適当なビーム強度の範囲を明らかにする。
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Causes of Carryover |
十字穴加工のためには光学装置の大幅な改良が必要になることが判明し、当初予定の試料移動台の仕様変更を余儀なくされた。しかし、新しい光学装置の設計が年度内に完了せず、試料移動台の治具に関わる物品の発注を行うことができなかった。次年度に光学装置の設計を終えた後に、これらの部品を発注する予定である。
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