2019 Fiscal Year Research-status Report
ディープラーニングを用いたプロセス産業のオペレータ支援機能に関する研究
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19K04113
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
藤村 茂 早稲田大学, 理工学術院(情報生産システム研究科・センター), 教授 (00367179)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 異常診断 / オペレータ支援 / プロセス監視 / 時系列データ予測 / ディープラーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,プロセス制御監視システムによって蓄積された時々刻々変化する時系列データを利用しディープラーニング技術を応用した実プロセスで利用可能なオペレータ支援機能を実現する.正常時の複数の時系列データを入力情報とし,1時系列データの将来の挙動を予測するモデルを開発し,熟練オペレータに対するポカミス防止,新人オペレータに対するプロセス知識における気づきを与えるオペレータ支援機能を実現する.膨大な正常時のプロセス時系列データを利用してディープラーニングによってモデルを構築する方法を提案し,自動的にシステムを構築するカスタマイズレスなシステム構築手法を実現する. 本年度は,2つの課題(1)モデルの基本設計,(2)実プロセスに対する適用の可能性の検討を実施した.(1)については,既に提案している複数の時系列データを入力としたCNNモデルを基本とし,複数の時系列間の関連の特徴抽出の仕組みの再検討を行った.また,複数の時系列データを入力としたLSTMとの比較評価を実サンプルデータを用いて実施した.(2)については2つの対象に対して本モデルの適用を実施した.1つ目の対象は,化学連続プロセスの複数のタグ(温度,液位,流量などのセンサの計測値,制御用の設定値,制御変化値)の時系列データであり,複数のタグの素データのみを入力した場合と各素データに対する差分データを共に入力する方法について比較検討を実施した.2つ目の対象は,熟練者の手作業の6軸モーションデータ(3軸加速度,3軸角速度)に対する適用であり,熟練者の動作のモデルとして本モデルを利用して初心者に熟練者との違いを示す仕組みを実装した.これら2つの対象共に良好な結果を得ることができ本モデルの有効性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり,(1)モデルの基本設計,(2)実プロセスへの適用の可能性の検証を行った.モデルの基本設計については,まだ改善の余地を残すが,(2)の2つの実問題への適用によって,効果が検証でき,基本的な方向性を確認することができた.ただし,1つ目の対象での検証では,複数の時系列データに対して2つの時系列データのすべての組合せについて,関連性のモデルを生成し,情報圧縮を実施するモデルであるが,関連性のあるデータのみに絞り込む方法について今後検討する必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,さらに,他の実問題への適用を通じて提案モデルの改善を行う.具体的には以下2つの内容を実施することを予定している.(1)モデルの改善を実施する.今年度は2つの実問題への適用を実施し効果を確認したが,1つ目の対象での検証では,1つのタグの時系列データの予測を行うために,まず,関連がある複数のタグを選択する必要がある.また,各タグの素データに対して変位の時系列データを利用するかしないかを決定する必要がある.これらの入力時系列は,多くすればするほどパラメータチューニングは難しくなり時間を要するため,適正な入力時系列データの選択が必要である.本モデル開発の目的は,カスタマイズレスなシステム構築手法の導入であるため,このようなタグの選定に対する自動化が必要であり,そのためのモデルの改善を検討する.(2)実モデルへの適用による検証を実施する.(1)で検討したモデルの改善に対して,その効果を検証するために,まず,今年度利用した実プロセスのデータを利用する.さらに別のプロセスについても適用してその効果を確認する.
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Causes of Carryover |
購入したGPUマシンの価格が上がったため,今年度はGPUカードの枚数を少なくして購入した.そのため,来年度はGPUカードの追加と成果発表のための国際会議のための旅費に利用する.
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