2019 Fiscal Year Research-status Report
協働双腕スカラーロボットの巧妙俊敏なプレート操りグラスプレス・ハンドリング
Project/Area Number |
19K04115
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
廣垣 俊樹 同志社大学, 理工学部, 教授 (80275172)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 産業用ロボット / ハンドリング / グラスプレス / 協働 / スカラー双腕ロボット / 操り / 制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
工場の次世代の革新的な自動化技術,現場の人手不足の解消の技術として,ヒトとの協働作業が可能な産業用ヒト型双腕スカラーロボットに作業プレートを保持する閉リンク機構の姿勢で,双腕の協調動作で保持したプレートを巧妙かつ俊敏に操る制御方法の開発を目指すものである.特にその応用として,プレート上の物体に直接触れることなく,その運動を制御するグラスプレス・ハンドリング(Grasp-less Handling=対象物を直接把持することなくプレート上を移動運動させる手法)に取り組む.また協働型であるため,運動加速度・慣性力や振動の制約が生じるが,その条件下でも十分なハンドリングの技術となるように検討する.本年度はその発想の基本原理の解析のためのモデルの検討,その可能性について実験検証を遂行した.スカラーロボットが得意とするエンドエフェクタの水平面内の運動に着目し,その活用方法と有効性の検証に取り組んだ.すなわち工場の作業現場で多用されるサイズ(600×450mm)の木製パレット作業プレートに着目して,その上にアクリル板を敷き,そのプレート上にボール(直径20mmの鋼球)を置き,シミュレーション解析結果の伝達関数を用いてプレートの面内運動制御を遂行して,プレート上のボールに転がり円運動を創成するグラスプレス・ハンドリングの手法を試みた.その結果,スカラーロボットの双腕協調でのプレートの面内運動制御でも十分にグラスプレス・ハンドリングが具現化できる可能性を示すことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
産業用協働ヒト型双腕スカラーロボット,作業プレート,対象とするボールの選定・導入は終了しており,グラスプレス・ハンドリングの研究に着手できる体制は完了している.巧妙と俊敏動作に分けて研究を進める予定であるが,前者は経験を有する一方で後者は基礎研究からのスタートになる.そのための動作はプレート水平面内操りで達成を目指す予定である.そこでプレート上のボールとプレート水平面内の運動についての運動方程式を検討し,摩擦要素の同定を遂行し,その後のシミュレーションの遂行準備を整え,入力となるプレート運動と出力となるプレート上のボールの転がり運動に関する伝達関数の算出のための準備も完了している.さらに一部は解析および基礎実験にも取りかかり,その考察も済ませ,現状として予定していたハード・ソフト面とも順調な進捗である.対象物体に直接触れることなく運動制御する提案手法は,工場現場だけでなく医療の現場への応用も想定でき,コロナウイルス検査自動化やその精度の向上などの分野への貢献も期待できる状況でもある.これらの実績は,国内の専門学会および国際会議でも発表を済ませており,十分な進捗状況にある.
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Strategy for Future Research Activity |
ソフト面を中心とした運動方程式のシミュレーション(伝達関数)等に関しては十分な進捗がある一方,ハード面を中心とした双腕スカラーロボットを用いたプレート操りの実験には多くの工数と時間を要しており,その進捗に若干の遅れが生じている.また年度末のコロナウイルスによる消耗品物流の滞りに起因する実験の若干の遅れも生じている. そこで実験においてのプレート上のボールの転がり運動のモニタ方法に,新たに動画のモーションキャプチャーを導入することで,実験の精度と能率の向上を目指す予定である.また物流の滞りに対してはオンライン発注を活用して対応する予定である.
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Causes of Carryover |
理由として,予定通りに消耗品等の導入が進んでいたが,年度末にコロナウイルスによる物品の納期遅れが生じるなどした.さらに同様の理由で予定していた学会等の出張を取りやめ,執行に遅れが生じた. 使用計画は,コロナウイルスによる様々な遅れが生じているが,次第にオンラインを活用することでそれらの遅れに対する対応策も明確になりつつある.したがって遅れを徐々に取り戻し,執行は申請当初の予定額に達する見込みである.
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Research Products
(3 results)