2020 Fiscal Year Research-status Report
ハイレシプロ研削用砥石の開発と耐熱合金の高能率研削への応用
Project/Area Number |
19K04120
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
吉原 信人 岩手大学, 理工学部, 准教授 (80374958)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ハイレシプロ研削 / 研削特性 / 耐熱合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
研削加工において高能率化は非常に大きな課題である.高能率化を達成する方法として提案されている研削法がクリープフィード研削とハイレシプロ研削である.クリープフィード研削とは工作物送り速度を低くし,砥石半径切り込み深さを大きくする高能率研削法である.一方,ハイレシプロ研削は工作物を高速反転運動させ,砥石半径切り込み深さを小さくする高能率研削法である.しかしこのハイレシプロ研削では,砥粒切り込み深さが大きくなるため,砥粒脱落型磨耗の促進が懸念される.そこで本研究ではハイレシプロ研削における砥石磨耗メカニズムの解明を進め,砥石磨耗を抑制するための研削条件および砥石選定指針を明らかにする作業を進める.また,インコネル718やワスパロイなどのニッケル基耐熱合金は航空産業など広く使用されるようになっている.しかし,これらの材料の熱伝導率は低く,研削熱の影響が大きくなるため砥石寿命が短くなることが問題となっている.そこで本研究ではハイレシプロ研削により研削熱の発生を抑制しつつ,ニッケル基耐熱合金を研削することを提案し,その研削特性を明らかにする. 2020年度は砥粒の分布や砥粒の種類がハイレシプロ研削における砥石摩耗に与える影響について検討した.その結果,研削熱が低い条件下においても,砥粒・工作物間の化学反応は考慮すべきであることが明らかとなった.また,砥粒分布も連続砥粒切れ刃間隔に影響するため,砥石摩耗に影響を与えることが明らかとなった.これらにより耐熱合金をハイレシプロ研削により加工する際の,研削条件最適化の指針を一部示すことができた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は砥石仕様がハイレシプロ研削における砥石摩耗に与える影響について検討した.砥粒分布が研削面の状態に与える影響を明らかにし,研削面粗さとの関係について検討した.これにより,砥粒に加わる力に関する理論的な検討を可能にすることが可能になると考えられる.また砥粒の脱落について検討するとき,砥粒に加わる力の影響のみではなく,砥粒保持力の影響も考える必要がある.そこで様々な種類の砥粒を用いて砥石摩耗量の比較をして,差があることを確認した.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究から,砥粒保持力や砥粒分布がハイレシプロ研削における脱落型摩耗の進行に影響することが明らかとなった.そこで今後は研削熱が砥粒保持力に与える影響を定量化しすることにより最適な研削条件を選定することを可能にする.また,ハイレシプロ研削を実際の耐熱合金研削に適用し,その研削特性を明らかにする.
|
Causes of Carryover |
予定していた海外での講演が全てキャンセルになったため,次年度使用額が生じた.今年度は実施されると予想されるため,主に旅費として使用し,一部を砥石など消耗品の購入や論文の掲載費に用いる.
|