2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on EDM utilizing Ultra Fine Bubble
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19K04128
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
岩井 学 富山県立大学, 工学部, 教授 (30363873)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 放電加工 / ウルトラファインバブル / 環境対応型加工 / 加工液 / 加工能率 / 電極消耗 / 表面粗さ |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは2004年より水溶性加工液中に直径数μm~50μmのマイクロバブルを発生させたマイクロバブルクーラントを除去加工に適用してきた。これまでに切削工具および研削工具(砥石)の寿命が向上すること、工作物の表面粗さが改善することを明らかにしている。また水溶性加工液の腐敗防止や汚濁物質の除去に効果があることも見出している。本研究では、nmオーダーのバブルの直径や密度を変化させて発生できるウルトラファインバブル発生器を開発するとともに、放電加工に最適なバブル条件を実験的および理論的に解明し、ウルトラファインバブル放電加工法の実用化を目指している。 2019年度は微細多孔質体を利用したウルトラファインバブル発生器を製作し、ウルトラファインバブルのバブル径やバブル密度を測定した。所望のバブル条件で発生できる放電加工用のウルトラファインバブル発生器を形彫放電加工およびワイヤカット放電加工に適用した。その結果、放電加工に用いられる純水および放電加工油に対しても所望のウルトラファインバブルを発生できることを明らかにした。また、放電加工性能においては、形彫放電加工では電極消耗率や表面粗さの改善に効果がみられた。ワイヤカット放電加工では若干ではあるが改善効果があることが分かった。 2020年度は効果発現機構を解明するためウルトラファインバブルによる加工液の物性変化に着目し、粘性係数の変化を調べた。ウルトラファインバブルを発生させた加工液は粘性係数が減少することが分かり、ウルトラファインバブルの発生状況を粘性の変化と関連付けて評価することができる指針を得た。また放電加工時には加工液の粘性が減少したことが、放電時の気化爆発によって電極と工作物との極間に生成する気泡に何らかの影響を及ぼしていると考えられる。その結果、アークの飛びや放電屑の排出性が向上し、放電状態を安定にさせていると推察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウルトラファインバブルクーラントによる放電加工性能を調べた結果、純水および放電加工油においても加工性能が改善することが分かった。ウルトラファインバウルによる効果発現機構を解明するため、これまではバブル径や密度を調べていたが、新たな知見として加工液の物性変化に着目する方法を確立した。加工性能の改善効果を関連付けて考察することができるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
形彫り放電加工およびワイヤカット放電加工においてウルトラファインバブルの混入条件の最適化、各種ガスの混入による効果を明らかにし、加工機構を推察することが今後の課題である。具体的には、工作物の材種の影響、電極条件の影響、放電加工条件の影響、ガス種類の影響を調べるとともに、高速度カメラによる放電および気泡の観察を行い、ウルトラファインバブルによる放電加工性能の改善機構を解明する。また、ウルトラファインバブルによる微細な放電加工くずの除去について調べるとともに、放電加工性能に及ぼす効果を明らかにする。放電加工機の汚れの除去についても調べる予定である。
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Causes of Carryover |
ウルトラファインバブル発生器の製作においてはメーカーから資材の提供があり、当初の予算よりも執行が少なく済んだ。またウルトラファインバブルの測定では測定器メーカーに協力していただくことができ、無料で測定できた。次年度は詳細な測定が必要であり、測定依頼費もしくはレンタル費として執行予定である。
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Research Products
(4 results)