2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on polishing phenomenon with AFM tip scratch machining
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19K04130
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
松井 伸介 千葉工業大学, 工学部, 教授 (50612769)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | AFM / ポリシング / 石英 |
Outline of Annual Research Achievements |
AFM触針の微小な先端を研磨加工における砥粒の非常に小さな切れ刃と見立て,スクラッチ加工することによって研磨メカニズムの基礎的な検討を行っている.触針の材質として研磨砥粒によく用いられる材料を用い,液雰囲気も純水からアルカリへ変化させ,実際の研磨に近い条件でのスクラッチ加工した.また,加工対象に石英製の光ファイバを用い,端面反射光の反射減衰量を測定することによって加工ダメージの推定も行った.今年度はまず前年度に続き,SiC触針による加工特性を調べた.その結果,SiC触針では純水中で,0.7nm(荷重50μN)の加工が行えることを確認した.ダイヤモンド触針による2.1nmに比べ小さくなっている.また,反射減衰量は,57.3dBと高く,加工前と変わりなく非常に加工ダメージが少ないことも分かった。反射減衰量は,値が小さくなると主に加工変質層の厚さが薄くなり加工ダメージが小さいことを示す.そこで,さらに高荷重での加工特性についてさらに調べた,その結果,加工荷重250μNで4.1nmの比較的大きな加工深さが得られた.しかし,反射減衰量は50dBと高く,同程度深さのダイヤによる加工での41dB(加工荷重:100μN)と比べると加工ダメージ大変小さいことが分かった.pHを上げるとSiCではダイヤモンド,アルミナ,シリカ等の触針と異なり加工量が減少した.また加工ダメージも小さかった.さらに,高pHではSiCはシリカ材料に対する加工量よりも自らの摩耗量の方が多かった.これらのことは,シリカ砥粒によるSiC基板の加工を反映しているとともに,SiC触針による石英材料の加工でも化学的な作用が大きく影響していることをわかった. シリコン単結晶基板へのダイヤモンド触針による加工も検討した.純水中で、表面のアモルファス化,酸化による体積膨張と加工減少の拮抗により加工量が決まることを見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍の中,なかなか実験が思うように進まなかった.また,所有AFM装置の不調が相次ぎこの対処にも時間を使った.さらに,やはりコロナの影響で,外部機関を使った測定等にも時間がかかった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,化学的な加工作用が支配的なシリカ触針を用い触針摩耗とその触針を用いたときの加工量の関係を調べる.化学的な作用が支配的であれば,触針が摩耗して,加工圧が低下しても,作用する分子数は逆に増加する.そこで,その際の加工量を定量的に検討する.また,基板に対する加工では、石英基盤を用い光ファイバと同等の加工が行えるか検証を行うとともに、加工変質層の測定をマイクロエリプソメータ,顕微ラマン分光等により評価する。さらにシリコン基板では、アルカリ液を用いて評価し,純水中と比較する.さらに基板としてSiCを用い,シリカ触針で加工をし,この組み合わせの加工特性を基板と触針の材料が逆の場合と比較検討する.基盤としては,その他アルミナ,セリア,ジルコニア等も考えられ,必要に応じて検討する.この場合,触針材質も適宜変更することも行う. さらに、スクラッチ加工の高速化、高加重低速の研磨加工の比較検討等より広い条件下での加工での評価も続けていく.
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Causes of Carryover |
コロナ禍の中,なかなか実験が思うように進まず,触針の購入計画が立たなかった.また,装置,ジグの改良にも進めなかった.さらに,外部機関を使った測定等にも支障が発生し、測定用の費用が執行できなかった. 年度前半までに,必要な触針,ジグの購入を行う.また,同時に加工ダメージ等の表面分析,解析も速やかに行なう. また,研究の最終的なまとめとして,学会発表,論文作成を行う.次年度使用額は、これらの経費に充てる。
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