2019 Fiscal Year Research-status Report
A study on product shape preferred by users based on quantification of visual informaton using induction field
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19K04137
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
三島 望 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (00358087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 雅英 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (60172441)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 誘導場 / ユーザー選好 / 環境適合設計 / 形状評価 / 感性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究においては,計画書に記載のとおり,製品形状を誘導場の概念を用いた数値処理した結果と,形状に対するユーザーの関係評価結果(ユーザー選好)を比較し,その相関を求めることで,ユーザーに好まれる製品形状の解明を進めている.背景となる基礎的な手法は開発済みだが,実際の製品形状評価に適応するためには当面,1)より有意性の高い相関関係の検証,2)3次元形状の評価方法の確立,3)製品別の形状の重要性の明確化と本手法に適した製品の同定,の問題点を解決する必要がある. これらの問題点のうち,平成31年度(令和元年度)は,主として2),3)に着目して研究を進めた.その結果,①背景となる手法と基礎的な形状評価結果について,②同手法を環境適合設計と組合せて,ユーザー選好が高く環境負荷の低い製品を設計する手法,③形状の消費者選好を他の機能との相対比較により定量化した結果,のそれぞれについて国際会議に投稿し,研究発表を行った.うち1件は査読有り,2件は査読無しの発表である. 昨年度の研究の結果,提案している手法を製品形状の定量評価へ適用することの有効性は確認できたと考えている.また,同手法の評価結果を環境適合設計と組合せ,ユーザー選好が高く,環境負荷の低い製品を設計する考え方を新たに提案した. 一方で,これまで評価対象としてきたスマートフォンは形状の相対重要度が比較的低く,形状の好みよりも機能が重視される製品である.形状そのものがユーザー選好に大きく影響する製品(自動車,椅子など)分析対象として選定する必要性も明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前項に記載した“3次元形状の評価方法の確立”について,3次元形状を直接評価する方法はいまだ確定的な方法が考案できていないが,第一段階として6方向からの画像を重みづけして評価値を合計する方法を提案した.実際に製品形状の評価に適用できるかを今後検討する予定である.ただし,3次元形状の評価は,単純に6方向からの2次元形状の評価値の重みづけ和として表すことができるとは考えにくく,いずれ3次元形状の直接評価方法を検討しなくてはならない.昨年度の提案は中間的な案に過ぎないと考えている. 評価対象としているスマートフォンに対して,製品形状を含む複数の製品属性がユーザー選好に対してどのような重みを有するかを定量化した.製品形状がユーザー選好に強く影響する製品が手法の適用対象として望ましいからである.その結果,スマートフォンにおいては,形状の影響は評価対象とした7つの製品属性のうち5番目であり,形状がユーザー選好に強く影響する製品とは言えないことが明らかになった.この点を踏まえて今後は,本手法の適用対象を拡大する予定である. 当初計画に対して,適用対象の拡大の点では対象とすべき製品が完全には決まっていないことから,計画より少し遅れている.一方で,手法の実用化後の目的として,形状をユーザー好みのものとすることで,環境負荷を増大させずに,製品価値を向上させ得ることを提案した点は新たな進捗であり,総合的に見ておおむね順調に進展している,と言えると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに記載の通り,より有意性のある相関関係の検証,3次元形状の評価方法の確立が積み残しになっている.前者は,形状により誘導場の計算値が大きく異なる製品を分析対象とすれば相関係数の計算における有意性は自動的に増すと考えられ,大きな問題はなさそうである.後者については,6方向画像の感性評価結果を重みづけする方法と,3Dプリンターで造形した3次元モデルの直接評価ひた結果を比較し,どの程度の相関があるかを分析する.相関があれば,3次元形状の評価に代えて,6方向からの画像の評価が使用できることになり,画像の誘導場の計算結果と直接比較することができる.今年度の研究を進めるため,小型の3Dプリンターの導入を予定している. また,昨年度の研究発表においては,“製品の色”がユーザー選好に影響するとの指摘があった.現在の誘導場の計算式は白黒画像しか扱えないため,このままでは色を含めた形状の定量化は出来ない.この点を解決し,研究を推進する方策として,座標位置における誘導場の計算結果に“色補正係数”を乗じることを検討したい.誘導場の計算値は,当該座標における図形が,視神経に起こす刺激の強さを表しているため,色による視覚の刺激を数値化して乗ずることで,簡易的に色を含めた形状の定量化が行えるものと考えている.ただし,色補正係数の値は製品によっても異なることが予想されるため,複数の製品で色の効果を検証して行く. 以上の方策により今年度の研究を推進する予定である.
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Causes of Carryover |
計算機用消耗品が予定より安価だったため,端数が残額として生じた.次年度使用額が少額であるため次年度の研究計画,使用計画に変更はない.
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Research Products
(4 results)