2019 Fiscal Year Research-status Report
Numerical modeling of a thermomagnetic motor to extract energy from unused low quality heat source
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19K04139
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中村 正行 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (60207917)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 連成解析 / 磁場解析 / マルチフィジックス / 熱磁気現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多目的最適化により熱磁気モータの動作メカニズムを解明し、熱磁気モータの数値モデルを構築することで設計指針を明らかにし、最適設計を行うことを目的としている。2019年度は熱磁気モータの数値モデル構築を目指して次の4項目を実施した。 (1)マルチフィジックスソフトウエアの導入、(2)熱磁気モータの磁気回路周辺の数値モデルの構築、(3)構成要素の熱物性値の数値モデル化、(4)磁場と温度場および運動解析の連成解析 (1)については、解析用ワークステーションと連成解析用ソフトウエア、温度場、磁場、動力学場の解析モジュールの導入を行い、磁力解析の動作確認と精度チェックを通して解析ソフトウエアと連成解析の利用技術を習得した。(2)については磁気回路周辺の数値モデルをいくつかの種類について構築し数値モデルと連成解析に必要な記憶容量は十分であることを確認した。(3)の物性値の実測値取得については、公設の試験研究機関に測定を依頼する数種類の感温磁性材料(過去に試作機に用いたGd(ガドリニウム)と新規材料であるキュリー点の異なる鉄-ニッケル系の合金)の熱物性値、温度依存の磁気特性を実験計測により取得する実験計画を立てた。今年度は測定を実施せず、磁性の温度依存性、構成要素の温度物性値は、数値モデルを構築し利用した。(4)の連成解析を通して、トルクを増大させるのに検討を要する次の関係を明らかにするため、数値シミュレーションによるパラメータースタディを行った。 1.永久磁石の配置と磁力の方向、2.加熱冷却温度と時間、3.磁気回路と磁性材料の温度依存磁気特性との関係、4.各部分の熱伝達率や磁性材料の熱伝導率などの熱物性値との関係 なお、4.に関しては熱物性値の実測値の取得を行わなかったため、今後、数値モデルをいくつか準備して仮定した物性値に対して検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
連成解析を通して、トルクを増大させる検討に必要なパラメータースタディのうち、熱磁気モータ各部分の熱伝達率や磁性材料の熱伝導率などの熱物性値との関係を明らかにする検討は実施しなかった。これは、熱物性値の実測値の取得を行わなかったためであり、今後、代替処置として数値モデルをいくつか準備して仮定した物性値に対して検討を行う予定である。 また、数値モデルと連成解析に必要な記憶容量は十分であることを確認した。しかし、当初予想したとおり導入したワークステーションの計算速度が不足していることから、連成解析を行う際の計算時間が長時間となり、十分な回数のパラメータースタディが行えなかった。また、今後最適化を行う際には、計算速度が不十分であり、CPUの増強が必要である。2020年度にCPUの増強を計画しており、実施できなかった数値シミュレーションについては2020年度に実施する。連成解析については、影響の少ないと考えられる物理現象を除くことで、計算負荷軽減を図る予定であり、2020年度には必要な物理現象を特定する検討を追加する。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に実施した熱磁気モータの数値モデルを用いた解析結果に基づき、2020年度は出力トルク向上の要因を整理して熱磁気モータシステム全体の設計を行う。さらに、これまでの磁場解析に基づく研究(村澤智啓、中村正行:温度場および磁場シミュレーションに基づく熱磁気モータの設計要因、第22回「電磁力関連のダイナミクス」シンポジウム講演論文集、2010,pp.192-195)において、磁気回路部分の形状最適化を行うための知見が得られている。この知見を利用して、非定常温度場および磁場、流れ場、動力学解析を組み合わせて検討する。このためには、2019年度に実施した連成解析が計算負荷が大きいため、連成解析の時間短縮を図る。研究計画では流れ場の連成も取り扱う計画であったが、流れ場に関しては連成解析には加えないとして数値モデルを変更することを考える。また、計画通り解析用ワークステーションのCPUの増強を行う。さらに、最適化モジュールを導入して連成解析に基づく最適化を実施する。「回転が持続できる」ことを最適化の基準に用いることで解析に必要な境界条件等を設定する。数値解析による物理現象の再現精度は十分であると考え、境界条件や摩擦損失などの未知な計算条件を「回転が持続できる」ことを目的関数として最適化手法により同定する。また、2019年度実施できなかった熱物性値の実測値の取得については、今後、数値モデルをいくつか準備して仮定した物性値に対して検討を行うように計画を変更する。
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Causes of Carryover |
公設の試験研究機関に測定を依頼する数種類の感温磁性材料(過去に試作機に用いたGd(ガドリニウム)と新規材料であるキュリー点の異なる鉄-ニッケル系の合金)の熱物性値、温度依存の磁気特性を実験計測により取得する実験計画を立てたが、今年度は測定を実施せず、磁性の温度依存性、構成要素の温度物性値は、数値モデルを構築し利用した。2020年度に実験計画に基づく測定を実施する予定であり、依頼測定の費用として使用する。
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