2020 Fiscal Year Research-status Report
Numerical modeling of a thermomagnetic motor to extract energy from unused low quality heat source
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19K04139
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中村 正行 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (60207917)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 回転機械 / モータ / トルク / 出力 / 熱磁気 / 磁気回路 / 磁場解析 / 温度場解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多目的最適化により熱磁気モータの動作メカニズムを解明し、熱磁気モータの数値モデルを構築することで設計指針を明らかにし、最適設計を行うことを目的としている。 2020年度は前年度に構築した熱磁気モータの数値モデルに対して温度場と磁場の連成解析をおこなった。連成解析に伴い、CPUメモリー容量と計算速度の増加が必要となることから、計画通り計算機のメモリーの増設とCPUの増強を行った。連成解析が実施できたことからロータに発生する軸出力を推定できた。これにより、熱磁気モータ全体の最適設計に向けて最適化パラメータとして取り扱う変数と数値モデルに含めるべき現象の把握が可能となった。また、ロータとステータに突極形状を設けたディスク型ロータを積層した積層型熱磁気モータの数値モデルを新たに構築した。この数値モデルに対して突極部の極数による出力トルクへの影響を調査した。一連の解析から、熱磁気モータを運転する加熱冷却水の温度範囲に対して、回転数(ロータ直径)に最適値が存在することがわかった。 また、いくつかのシミュレーション結果から流れ場に関しては連成解析には加えないことを結論づけた。また,2019年度に実施できなかった熱物性値の実測値の取得は行わないこととし,今後,仮定した物性値に対して検討を行うように計画を変更した。数種類の物性値の組み合わせを仮定して数値解析を行うことから,物性値に依存する設計パラメータの同定が可能であると考えられる.以上の得られた知見をまとめ,学会講演会にて2件の研究発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熱磁気モータ各部分の熱伝達率や磁性材料の熱伝導率などの熱物性値の実測値の取得は2019年度に計画し実施できなかった。2020年度は代替処置として熱物性値は実測値を用いずに文献などを参考に妥当な数値を仮定して検討を行った。実測値を用いずに仮定した数値に対する解析を行うため、仮定値の幅を広めにとったシミュレーションを実施することで、熱物性値の影響を把握できると考えられる。次年度に予定している最適化においては、いくつかの熱物性値の仮定値に対して最適化を実施することで一連の知見を得ることを目指す。 また、数値解析を行うハードウエアに関して、数値モデルと連成解析に必要な記憶容量は十分であるが、当初予想したとおり導入したワークステーションの計算速度が不足している。このため、連成解析を行う際の計算時間が長時間となり、最適化を行う際には計算速度が不十分であり、さらなるCPUの増強が必要である。2021年度にもCPUの増強を予定しており、最適化計算を実行できる見込みである。連成解析については、引き続き影響の少ないと考えられる物理現象を除外することで、計算負荷軽減を図る。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は2020年度に新たに構築した突極形状を有する数値モデルに対して出力トルク向上の要因を整理し、熱磁気モータシステム全体の最適設計を行う。多目的最適化により運転温度、ロータ直径に依存する運転回転数、磁場の強さやキュリー温度に依存する磁気回路の性能のトレードオフ関係の詳細を明らかにして熱源および冷却源の温度範囲および容量に応じた最適な規模の装置設計を目指す。 研究計画では流れ場の連成も取り扱う計画であったが、いくつかのシミュレーション結果から流れ場に関しては連成解析には加えない。また,計画通り解析用ワークステーションのCPUのさらなる増強を行う。また,2019年度実施できなかった熱物性値の実測値の取得は行わないこととし,今後,仮定した物性値に対して検討を行うように計画を変更する。 「回転が持続できる」ことを最適化の基準に用いることで解析に必要な境界条件等を設定する。数値解析による物理現象の再現精度は十分であると考え,境界条件や摩擦損失などの未知な計算条件を「回転が持続できる」ことを目的関数として最適化手法により同定する。これは新たな試みであり,実現できれば本研究の主要な成果の一つになると考えられる。
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Causes of Carryover |
計画していた熱物性値の実測を行わなかったことにより,材料費および測定費用を支出しなかった.また,学会発表がオンラインにて開催され旅費分の支出がなかったことによる.これらは,次年度において計算速度を高めるためワークステーションのCPU増強に当てる.
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