2020 Fiscal Year Research-status Report
微粒子エロージョン法による硬質薄膜の耐チッピング・耐疲労性の加速評価試験法の開発
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19K04151
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
宮島 敏郎 富山県立大学, 工学部, 准教授 (60397239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大嶋 元啓 富山県立大学, 工学部, 講師 (40511803)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エロージョン / スラリー / 耐衝撃性 / チッピング / 硬質薄膜 / コーティング / 摩耗 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究室独自の大粒子投射型エロージョン試験機を用いて,投射粒子に昨年度の平均粒子径50 μmよりも大きな平均粒子径100 μmのアルミナ粒子を用いて試験を行った.これにより,より衝突面積を大きくして,面圧を低減させた耐疲労性を評価する試みを実施した.その際,投射圧力を制御し,エア流量40 L/minにすることで,硬質薄膜内の膜の剥離の進行状況の違いを比較した.評価方法として,投射量(投射時間)ごとに,マイクロスコープでエロージョン面を撮影し,その画像から判断した. その結果,同じ成膜条件で成膜された2種類の試験片で,異なる挙動を捉えることができた. 投射粒子量1g投射後,A試験片では,投射痕の中央近傍で基材の露出を伴う損傷が少数見られたが,B試験片では投射痕中央から広い範囲で多数の損傷が見られるといった違いが生じた.投射粒子量2 gでは,A試験片では,投射粒子量1 gに見られた多数の損傷から面方向に損傷が広がり,損傷同士が繋がることで大きな損傷になっていた.一方,B試験片では,投射痕中央部から,投射粒子量1 g時の損傷よりも面方向に大きく損傷の広がりが見られ,A試験片の損傷よりも大きな損傷になった.損傷の点在状況や広がり方から,A試験片はB試験片に比べ脆弱部が多く点在しており,そのような箇所が損傷の起点となっていると考えられ,これらの箇所を取り除くことが硬質薄膜の性能向上に繋がることを示唆できた. また,昨年度と同様に,投射状態の可視化を行った.昨年度得られた最適観察条件を用いて,より粒径が揃った投射粒子を用いて試験を実施した.特に,画像や映像から,粒子の投射挙動(スラリーの広がり等)を観察した.その結果,エア流量によって,投射状態が変化すること,投射粒子のおおよその流速も計測できる可能性がみえた.さらに,投射直後の粒子の衝突分布を観察することを試み,観察することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い順調に進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い,研究を進めていく.昨年度の研究の推進方針の通り,大きな粒子を使用して,接触面積を増やして局所的な応力を緩和する形で進められたため,引き続き,その形で進める.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの関係で,学会がオンライン開催になり,その旅費が余ったためである.次年度,新型コロナウイルスの関係がどうなるかわからないため,実験等に有効に使用する予定である.
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