2019 Fiscal Year Research-status Report
中小企業におけるスマートファクトリー実現のためのワイヤ駆動デルタロボットの開発
Project/Area Number |
19K04153
|
Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
樋口 勝 日本工業大学, 先進工学部, 教授 (40293039)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | パラレルメカニズム / 機構設計 / ワイヤ駆動機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
デルタ型パラレルワイヤ駆動機構の要となる構成要素である、ワイヤ巻取り機構の提案と設計・試作・評価を行った。、まず、従来のパラレルワイヤ駆動機構共通の問題点である、スロート(穴)を用いたワイヤ繰り出し部とワイヤ間の摩擦、摩耗、繰り出し位置誤差を解決したワイヤ繰り出し部一体型ワイヤ巻取り機構を提案した。具体的には、特別なワイヤ繰り出し部を用意せず、ベース側、プラットフォーム側、どちらにも、チルト機構と2つの平行な軸を有するプーリを用い、これらを2本のワイヤで接続する構造とした。さらに、デルタ機構とするため、この2つのプーリは同期駆動して、2本のワイヤが平行かつ同じ長さになるように制御する必要がある。そのため、これら2つのプーリを1つのモータで実現すための、駆動機構、および、2つのプーリの配置方法を構造の単純さ、運動精度に着目して評価し、3種類の機構を提案した。 次に、提案したワイヤ巻取り機構の運動精度を評価するための、ワイヤ巻取り機構を一つだけ用いた、プラットフォームの位置・姿勢誤差を計測する実験装置を設計・製作した。最終的には、ステッピングモータを用いる予定であるが、本実験装置では、運動計測が容易なACサーボモータを用いた。計測の結果は最も単純な構造のワイヤ巻取り機構でも、位置誤差は±0.1㎜、姿勢角誤差±0.1°を実現した。 最後に、このワイヤ巻取り機構を用いたデルタ型パラレルワイヤ駆動機構の試作機を設計・製作を行った。大きさは、一片の長さが1mの三角柱状のフレームに収まる大きさとした。この試作機により、剛体リンクからなる一般的なデルタロボットと同様に、プラットフォームの姿勢を維持したまま、速度1m/sで空間3自由度の並進運動を実現した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の予定では、デルタ型パラレルワイヤ駆動機構の運動伝達性評価を行うための評価指標を提案することが含まれていたが、実際に機構を製作してみたところ、当初想定していた方法での評価が困難であることが分かった。そのため、製作した試作機を用いて、いろいろな位置での位置決めおよびワイヤ張力の測定を行い、機構定数とワイヤ張力、運動伝達性の関係を実験的に把握する必要があり、現在これを行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、試作機を用いて機構定数とワイヤ張力、運動伝達性の関係を把握している。そして、これに基づき運動伝達性の評価指標の提案と、これを用いた設計法の提案を行う予定である。 なお、令和2年度に行う予定であるワイヤ巻取り機構の提案・設計・試作は、令和元年度も行っており、それぞれの特徴および問題点を把握しており、これをベースに問題点を改良した機構の提案を行う予手である。
|
Causes of Carryover |
NCフライス盤を購入する予定であったが、当初予定していたNCフライス盤の在庫がなく、購入が困難となってしまった。そのため、この費用が、次年度に持ち越しとなってしまった。
|