2020 Fiscal Year Research-status Report
漆をベース材料とした樹脂すべり軸受の実用化に向けた開発的研究
Project/Area Number |
19K04156
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
宮武 正明 東京理科大学, 工学部機械工学科, 准教授 (70434032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 将平 東京理科大学, 工学部機械工学科, 助教 (60822517)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 漆 / 天然樹脂 / 摺動材料 / 天然材料 / トライボロジー / 固体潤滑剤 / 軸受 / 摩擦 |
Outline of Annual Research Achievements |
機械には,回転部や往復運動部など摺動部が多くあるが,樹脂すべり軸受は,摺動部を無給油・無給脂で支持するために広く用いられている.申請者は,硬度が高く耐薬品性に優れる樹脂材料として,天然の樹脂である漆に着目し,漆に固体潤滑剤を添加した樹脂すべり軸受を提案した(特願2016-093303 摺動組成物、並びに、摺動部材及びその製造方法).本研究課題においては,提案する漆を用いた樹脂すべり軸受の摺動特性や機械的特性を様々な条件下で評価し,漆を用いた樹脂すべり軸受の実用化に向けた研究を行う.本年度は,グラファイトやBNといった固体潤滑剤を漆に混合して摺動材を作成し,摺動試験や摩擦面の分析を行うとともに,漆に固体潤滑剤を混合させて硬化させた部材の,機械的強度も測定する予定であったが,新型コロナウイルス感染症の感染者数拡大にともなう緊急事態宣言の発出により,実験部材の製作,実験実施計画の遅延が生じたため,漆にグラファイトを混合した摺動部材に関してのみ,ドライ潤滑,水潤滑の両方の条件下で,摺動試験を実施を行った.今回の実験においては,平均粒子径32~42μmと,平均粒子径 5~11μmの2種類の平均粒子径のグラファイトを使用した.何れの粒子径においても,ドライ潤滑での漆の摩擦係数は0.7 程度であるが,グラファイトの添加によって摩擦係数0.2~0.3程度の低摩擦を実現し,配合量10wt%で最も低い摩擦係数を示した.水潤滑の場合はグラファイトの配合量を増やしたほうが低摩擦となった.また両条件において粒径が大きいグラファイトを配合したほうが低摩擦となった.なお,水潤滑の場合,ドライ条件と比較して摩耗量は大きくなる.グラファイトの配合量が多いと摩耗量が小さくなり,加えて,グラファイトの粒径が大きいほうが小さい摩耗量となることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は、高温環境下での試験装置の製作と実験,材料特性の評価を実施予定であったが,新型コロナウイルス感染症の蔓延にともなう,緊急事態宣言により,装置の製作や実験を行うことが出来なかった.また,講演を予定していた国内会議や国際会議が,中止もしくは,2022年度に延期となったため,研究成果の発表についても延期となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に実施予定であった実験内容の多くや研究成果の発表については,2021年度に実施を行う予定である.本研究課題は2021年度にて完了予定であったが,1年間期間を延長し,研究実施計画については,1年遅らせて実施する予定である.
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Causes of Carryover |
2020年度に実施予定であった実験装置の製作が,新型コロナウイルス感染症の蔓延にともなう緊急事態宣言の発出により,実施が出来なかった.また,2020年度に研究成果の発表のため,参加申込をしていた国際会議が中止となり,予算として確保していた旅費の使用ができなかった.遅延が生じた実験装置の製作と実験実施,研究成果の発表については,本研究課題の実施期間を1年間延長し,2021年度および2022年度の実施を予定している.
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