2020 Fiscal Year Research-status Report
ハイブリッド構造を有する超低摩擦摺動システムの創製
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19K04159
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Research Institution | Tsuruoka National College of Technology |
Principal Investigator |
上條 利夫 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00588337)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イオン液体 / ポリマーブラシ / ポーラスアルミナ / テクスチャ / トライボロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで重合性官能基を有するイオン液体に表面開始リビングラジカル重合の技術によりイオン液体型濃厚ポリマーブラシ(ILPB)を作製し,良溶媒となるイオン液体中で分子レベルに平滑なガラス表面と組み合わせることによってマクロスケールで摩擦係数0.001オーダーの超低摩擦特性が発現することを初めて見出した。 本申請研究では,平滑対抗面に表面修飾(有機;ILPB)・マイクロおよびナノスケールのテクスチャリング材料(無機;アルミナ)を複合したハイブリッド表面を用いた摺動システムの創製を開発目標としている。本年度は,ナノポーラステクスチャ基板にILPBを修飾したハイブリッド表面を作製し,潤滑特性を評価した。ナノポーラスアルミナ基板はガラス基板に蒸着したアルミニウム基板を陽極酸化条件40V, 60V, 90Vにて実施し,空隙率11%, 8.8%, 6.4%の基板を得た。表面開始リビングラジカル重合にて各基板に表面修飾し,基板上にILPBが形成されていることをSEM-EDXにて確認した。平滑なガラス表面を用いて作製したハイブリッド表面の摩擦測定試験よりストライベック線図を作製したところ,空隙率の違いにより潤滑特性が異なることが明らかになった。また,実験的にマクロスケールで摩擦係数0.001の超低摩擦特性が発現することが明らかになり,現在はその再現性,繰り返し耐久性,温度耐久性,荷重耐久性について調査している段階にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノポーラステクスチャ基板にILPBを修飾したハイブリッド表面を作製し,潤滑特性を評価した結果,マクロスケールで摩擦係数0.001の超低摩擦特性が発現することが実験データとして取得できているため。また,これはハイブリッド構造を有する超低摩擦摺動システムの創製における低摩擦の目標値である摩擦係数0.0001オーダーが目前まできているといえる。最終年度に実施予定である繰り返し耐久性,温度耐久性,荷重耐久性についてもすでに準備が進んでいる段階であることからも,表題の進捗区分は妥当であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで作製したノポーラス表面にポリマーブラシを修飾したハイブリッド表面における温度特性や荷重耐久性,繰り返し耐久性を明らかにするとともに,マイクロテクスチャ-ナノポーラステクスチャ表面,およびポリマーブラシを修飾したハイブリッド表面の摩擦試験の結果からストライベック線図を取得し,テクスチャ効果の及ぼす摩擦特性の関係を調査する。これまでの得られた結果を踏まえ,本システムの有効な実機システムを提唱する。
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Causes of Carryover |
高額な消耗品として計上していたイオン液体が他の研究プロジェクトで購入したもので補うことができたこと,ならびに参加予定の国際会議がコロナウイルスの影響でオンライン開催となったため出費が抑えられ次年度に繰り越しになった。これらの費用は,今年度の研究を加速させられるよう技術補佐員の雇用の経費や大学への出張や依頼測定,研究成果発信のための学会参加費,研究アドバイスを頂ける研究者との交流のための旅費に充てる予定である。
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