2020 Fiscal Year Research-status Report
Characteristics of elasticity on suppression for progress and rupture in cerebral aneurysm
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19K04163
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 隆平 東北大学, 流体科学研究所, 学術研究員 (90103936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 学 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (20292667)
太田 信 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (20400418)
TUPIN SIMON 東北大学, 流体科学研究所, 特任助教 (40816394)
安西 眸 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (50736981)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Cerebral aneurysm / Wall shear stress / Elasticity / Tensile force / Flow instability / PIV / FSI |
Outline of Annual Research Achievements |
脳動脈瘤の進展・破裂の予測精度を向上させるため、本来柔軟な瘤壁の弾性の影響を検討すべく、薄膜弾性の小さな脳動脈瘤を十分に再現できる作製法を確立した。この薄膜弾性の実寸 Phantom modelと、セットする最適なBathの組合せを再現できた。この研究の主要なポイントは、血管壁と同じ弾性係数を持つ直径7~10mm程度の透明な実動脈瘤 Phantomの作製である。この確立により、血流の拍動に伴う膨張・収縮変形の再現が可能となった。測定項目は、動脈瘤の進展、破裂に至る血行力学的因子である壁せん断応力WSS(Wall Shear Stress)、壁せん断応力の空間勾配 WSSG (Gradient of WSS)、流れの不安定性(Flow Instability)、また計算流体力学CFD(Computational Fluid Dynamics)による瘤底部での淀みに伴う血流の滞留時間 RRT(Residual Residence Time)の実験・解析した。 WSSの瘤壁に沿う勾配(WSSG)が淀み点回りで極めて大きくなること、この効果を調査するため、剛体モデルも作製した。対象となる中大脳動脈瘤である。WSSの抑制と、瘤入口から瘤底部に衝突する淀み点回りで、WSSの瘤壁に沿う勾配 (WSSG) が極めて大きくなることから、淀み点回りに作用するTensile forceが破裂の一因になる。さらに、剛体と弾性壁モデルでは、低レイノルズ数の拍動に伴うFlow Instability の指標の一つである運動エネルギ減衰率(KEC: Kinetic Energy Cascade)が、低周波及び高周波数域で弾性壁の減少勾配と減衰率は 10^-1~10^-2と大きく減衰すること。Flow Instabilityは剛体壁に限定され、弾性を考慮した実験は少なく、解析法はない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目は完全透明な実寸薄膜弾性壁Phantomの作製と、さらにPhantomを収納するこれは、Phantom を収納するBath を理想的な容器に作製できた。PIV による瘤中間面の変形、流体の流れ構造、WSS と WSSG、Flow Instabilityの測定から、弾性壁の瘤淀み点回りのWSSの大きさの抑制、瘤底部でのWSSGがTensile Force に直接関連して作用する破裂につながる可能性、弾性壁ではKinetic Energy Cascade (KEC)は剛体壁に比べて、低周波での減少勾配がより大きく、かつ高周波数域で漸減する減衰率も 10^-1~10^-2とより大きく減衰する。これは、昨年より進んだ大きな発見であった。CFDによる剛体壁では、瘤内の低壁せん断応力の部位で血液の滞留時間が長くなることが瘤破裂に至ることが再確認された。 これらの結果は、CFDによる動脈瘤内流れに関する論文1編が掲載され、1編が本年4月に他のJournalに掲載された。さらに他の論文1編が投稿中である。他5件の国際会議、2件の国内会議で発表されている。 現在、準3次元PIV 計測を実施する段取りをしており、これがなされれば柔軟性のある薄膜弾性脳動脈瘤内の流れの挙動、進展、破裂に至る概念を大きく変換する提案が可能となる。例えば、弾性壁はWSSを緩和するか?Tensile Force (WSSG)の影響は?弾性壁のFlow Instability の減衰率は、剛体では予測出来ない。など、多くの課題を解決し、この分野で新しい概念を提供できる。同時に、上述の解明は弾性壁瘤のFSI解析で、弾性と剛体壁モデルを比較することにより、実験の妥当性を確立できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現有のStereo PIV は、1断面の校正に3時間以上を要し、直径10㎜の瘤を 1.0 mm 間隔で測定するには長時間を要するため、今年度は 2D-PIVに立ち返り、瘤の中間面とこの面に直交する2断面に限定する。さらに、2本の出口管径の相違を考慮して、流量が出口管径の3乗に比例する定理を顧慮して、出口管流量比を調節し、過去2年間の等流量比の結果との相違を下記の項目で検討する。さらに、今年度行った中大脳動脈瘤に加え、基底動脈分岐部の瘤に対して、同じく2断面の運動エネルギの減衰率(KEC)、とWSS の測定を行う。 測定対象は、過去2年間行った薄膜弾性脳動脈瘤の変形、主要な血行力学的因子であるWSS、WSSGに関連するTensile Force、弾性によるFlow Instability の減衰(KEC)、動脈瘤の破裂に至る RRT の評価などである。さらに、これまでOne-way FSI (Fluid-Structure-Interaction)に加え、流量が出口管径の3乗に比例する定理を顧慮しTwo-way FSI により、過去2年間の結果の妥当性を検証できる。 これらの改善により、上述の弾性壁はWSSを緩和するか?Tensile Force (WSSG)への影響?Flow Instabilityを如何ほど減衰する可能性?など、これまで剛体壁で行われてきた概念を根本的に見直すことにつながる。さらに、中大脳動脈瘤と基底動脈瘤の比較から、弾性と剛体壁ではWSS, WSSG, KEC の普遍性を提案できると確信している。
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Causes of Carryover |
実験で使用する蛍光微粒子の購入額7万円に1万円ほど不足したため。
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