2019 Fiscal Year Research-status Report
Hydrodynamic modeling of wettability change considering electrodynamics
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19K04178
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山本 恭史 関西大学, システム理工学部, 教授 (90330175)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 流体工学 / 電気流体力学 / 表面張力 / 微小スケール / 濡れ性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,液体制御技術に利用可能な現象として注目されているエレクトロウェッティング(EW,電圧印加による濡れ性変化)について,その現象の本質を数値流体力学で表現するためのモデリングを行うとともに,制御に必要な知見を得る数値解析を行うことを目的とする.そもそもEW現象において本当に濡れ性が変化しているのか,それともそのように見えるだけなのか問う疑問がある.この疑問を電気力学と流体力学を組み合わせた数値解析から解明し,EW現象の数値シミュレーションモデルを構築するのが目的である. この目的を達成するため,まず,(1) 電場のない系におけるFront-tracking法流体解析コードにおいて,界面変形,濡れ性を精密に表現するための改良モデル開発を行い,高精度に実験を再現できることを確認した.それらの成果は,学会講演会で発表した. さらに,(2) 差分法に基づく電気流体力学ソルバーを組み込むことを行った.その際,最終的に目標とする水・空気系のような,電気伝導率が何桁も異なる系では,妥当な静電気力の表現が困難であることが分かった.静電気力の計算のために適切な計算方法を模索し,妥当な結果が得られるようになった.その結果は学会講演会で発表した.ただし,気体と液体の界面での計算は妥当であったが,絶縁体である固体表面での扱いに,まだ検討すべき点があることが分かった. (3) (2)の差分法による計算の欠点を克服できる別の計算手法として,境界要素法に注目し,境界要素法による電気力学コードの開発を行った.まずは2次元で検討したところ,境界要素の設定によっては,(2)よりはるかに精度の良い計算結果が得られることが確認できた.さらに3次元化を試みているが,積分方法などに工夫が必要であり,いろいろな方法を検討中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
境界要素法による電気力学コード開発に関する部分で,高精度計算のためには,想像以上に検討すべき項目が多く,1つ1つ丁寧に検証して進めているため,遅れぎみである. しかし,Front-tracking法流体解析コードは,実績があるので,電気力の計算さえできれば,様々な数値実験が可能となり,最終的な目標は問題なく達成できると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,(1) 境界要素法による電気力計算コードの3次元化を行い,基礎的な検証を十分に行う.簡単な系(水・空気・電極)から始め,順に構成要素を増やし,最終的に絶縁層まで含めた実際のEW系を表現する.(2) 実験や半経験式によるシミュレーションが有効な範囲のシミュレーションを行い,液滴の移動速度等を比較することで,コードの検証を行う.(3) 広い電圧範囲で,固体・液体の電気的特性を変えた高解像度シミュレーションを行い,接触線近傍の,形状・帯電量・電気力・表面張力による圧力を丁寧に観察することでエレクトロウェッティング現象の本質を調べる.(4) シミュレーションだから可能となる,界面形状を固定するなどの仮想的な数値実験を行い,電気力による効果と,濡れ性変化による効果の対応を調べ,本質と見かけの現象の対応について考察を行う.(5) micro-TASや,ディスプレイ等,実用的な系の大規模シミュレーションを行い,流体物性(密度・粘度・表面張力)の違いによる電場への応答特性を調べ,実際の装置の設計・運転に有用な知見を得る.
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Causes of Carryover |
(理由)2万円あまりの残額で,おおむね予定通りに執行できたので,無理に使用しなかった. (使用計画)次年度の物品費として有効に使用する.
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