2019 Fiscal Year Research-status Report
熱ほふく流を用いたKnudsenポンプの相似則の解明と流動解析に関する研究
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19K04190
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
松本 裕昭 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (10251753)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Knudsen ポンプ / 熱ほふく流 / ペルチェ素子 / DSMC法 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱ほふく流を駆動源とする Knudsen ポンプの高効率化と小型化を目的とし,平成31年度(令和元年度)は,ペルチェ素子を駆動源とするKnudsenポンプシステムを構築し,高い温度制御技法を確立した。また,DSMC法による解析技法を確立した。具体的には以下のような成果が得られた。 二つの容器をつないだガラス管内に正方形のペルチェ素子を表面が管軸に垂直になるように複数枚並べ,素子に電流を流すことで素子の片側の面ともう片側の面に温度差(温度比)を付けることで熱ほふく流を発生させ,二つの容器内に圧力差(圧力比)を発生させた。(a)管径35mm,ペルチェ素子の1辺20㎜,厚さ3.9mmの条件と,(b)管径7㎜,ペルチェ素子の1辺4㎜,厚さ2.4㎜の二つの条件について実験を行い相似則について検討した。いずれの条件も素子の温度は高温側の温度と低温側の温度でTh/Tl=1.6に設定した。(a)の場合も(b)の場合も,2容器間の圧力比は,ペルチェ素子間の距離により変化し,圧力比の最大値は(a),(b)でそれぞれ,(a)素子間距離が管径と同程度の時に1.015, (b)素子間距離が管径の2倍程度の時1.03 となり,相似則は見られなかった。今後代表値の取り方などを工夫し,相似則について更に検討していく必要がある。なお,(a)(b)いずれのケースも,素子に流す電流の向きを変えることで,容器の圧力を逆転させることが出来た。その応答は非常に速く脈動流の発生機能もあることが確認された。次に,実験装置からペルチェ素子1枚分についてシミュレーションを行い,素子周りに熱ほふく流が発生することを確認した。装置内のクヌッセン数,0.1程度では高い温度非平衡が存在し,特に分子の並進温度と回転温度の差が大きくなることが確認された。今後更なる計算を行い流れ場の解明に努める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
10Pa以上の圧力下におけるKnudsenポンプのポンプ効率を調べるための,微差圧計を特注したが,十分な精度が得られず,作り直しになってしまったたため,10Pa以上での性能が十分に検証できなかった。しかし,Knudsenポンプの温度制御は十分に行え,10Pa以下での作動状況を確認することが出来た他,数値計算法も確立できた。微差圧計は,まもなく改良版が出来上がるので,この遅れは十分取り戻せると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
改良した微差圧計を用いて,10Pa以上の圧力下におけるポンプの性能を検討し,数値計算により,熱ほふく流とポンプ性能の関係を明らかにする。 また,異方性磁気ペルチェ効果や異常エッチングスハウゼン効果などを示す新素材のKnudsen ポンプへの適用の可能性をとシステムの小型化を検討する。
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Causes of Carryover |
特注した微差圧計の試作機の性能が十分でなく,改良を依頼していたが年度内の改良ができす,次年度に持ち越しとなったため。 持ち越した未使用額は,改良を進めている微差圧計の購入に充てる。
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Research Products
(2 results)