2020 Fiscal Year Research-status Report
強い衝撃波背後の鈍頭物体に対する亜音速逆方向ジェットによる熱防御システム
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19K04192
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大和田 拓 京都大学, 工学研究科, 教授 (40223987)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フィルム冷却 / 衝撃波 / 亜音速ジェット / 乱流 / レーリー・テーラー不安定 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は翼前縁前方に生じた強い弧状衝撃波背後の高温気体による空気力学的加熱に対する熱防御法として淀み点近傍から冷却気体の亜音速の逆方向ジェットを噴射することによるフィルム冷却の流体力学的計算を行い,これより2次元計算では仰角が5度までの範囲で90%という高い冷却効率が達成されたが、3次元計算ではレーリー・テーラー不安定性やケルビン・ヘルムホルツ不安定性、そして乱流境界層への遷移のために高温気体と冷却気体の混合が促進されて翼に沿う冷却気体のシールド効果が薄れ、冷却効率が40%から60%まで低下することが判った.本年度はそのデータの再検討を中心に行い、さらに申請者が開発した衝撃波捕獲スキームの乱流解析における信頼性を向上させる検討を開始した。 亜音速逆方向ジェットはおおむね2KHzの周波数で上下に振動し、レイリー・テーラー不安定によって生じた大規模な渦が間欠的に境界近傍に接近する。平均流速場は前年度の計算で概ね収束していると判定できたが、間欠的な大規模渦により平均温度場の収束は遅く、さらに種々の相関を明らかにするための統計分布の収束には膨大な計算時間が必要となることが判った。高次の多項式を利用することで乱流境界層の複雑な挙動はある程度まで捉えることに成功しているものの、工学的問題に利用できる解像度は現在の計算機でも十分とは言えず、特に粘性低層にはなんらかのモデル化が必要と思われ、現在検討中である。フィルム冷却以外の流体力学的冷却法として、多孔質からの噴流を利用したトランスピレーション冷却の数値計算の検討も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度はコロナ対策のオンライン授業ために予定していた種々の基本的問題の数値解析が準備段階にとどまっている。オンライン講義ではどうしても学生に伝わらないことがあるので、講義ノートを全面改訂して学生に公開することにしたため、それに多くの労力をさかれたこと、そして申請者の研究補助をしてくれる人的資源が全くなかったことも研究遅滞の一因でもある。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時に予定していた状況と現在の状況が大きく変わったことから、研究が進展していないが、本年度は前年度に終了できなかった申請者の開発した衝撃波捕獲スキームの乱流の基本的問題における性能評価を引き続き行う。
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Causes of Carryover |
消耗品として購入したCPUが予定していた額よりも大きくなってしまった。次年度はそれを考慮して次年度助成金を使いますので、問題ありません。
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