音波共鳴管実験と分子気体力学に基づく非平衡状態下での蒸発係数測定法の開発

2022 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 19K04202
• Research Institution: Nara National College of Technology
• Principal Investigator: 中村 篤人 奈良工業高等専門学校, 電子制御工学科, 准教授 (80619867)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: 相変化 / 蒸発係数 / 凝縮係数 / 音波

Outline of Annual Research Achievements

蒸発係数は分子気体力学の境界条件、気体論境界条件に含まれる未知パラメータであり、蒸発係数を求めることで、気体と液体の界面において、どれだけの質量、運動量、エネルギーが交換されるのか、正確に求めることが可能となる。従って蒸発係数が決定されることで、熱交換器、薄膜形成、キャビテーションなど工学分野への直接的な貢献はもちろん、異常気象、環境問題など、本研究による成果は幅広い分野に応用可能である。
本課題では研究代表者が開発した蒸発係数測定法を基盤として、非平衡状態に対応した測定法に拡張することを目的とする。初年度は共鳴管内の音場の精密測定に取り組んだ。ただし、当初予定していた測定法から圧力センサを用いて形成した試料液膜上で測定する方法に変更し、これに伴い実験装置の改良が必要となったことから、改良に関する検討に取り組んだ。2年目は、1年目からの継続課題である共鳴管内の音場の測定に取り組むとともに、解析用のコンピュータを導入し、解析に向けた準備作業に取り組んだ。解析については、現状使用している理論解（線形理論解）については、実験条件との乖離が生じていることを踏まえ、Boltzmann方程式を数値解析手法により直接計算する。2021年度、および補助事業期間を延長して取り組んだ2022年度も初年度、2年目の取り組み内容に継続して取り組んだが、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響もあり、物品調達等に時間を要したこと、研究打ち合わせ等が予定通り進まなかったこともあり、当初目的としていた非平衡状態下における蒸発係数測定の実現には至らなかった。一方、共鳴管内の音場の精密測定と非平衡状態での測定に対応した実験装置の開発は完了した。