2021 Fiscal Year Research-status Report
Sub-shockをともなう衝撃波の拡張された熱力学に基づく解析
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19K04204
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Research Institution | Kitakyushu National College of Technology |
Principal Investigator |
谷口 茂 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 准教授 (00626880)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 衝撃波工学 / 非平衡熱・統計力学 / sub-shock / 拡張された熱力学 / 多原子分子気体 / 混合気体 / 球面衝撃波 / 円筒衝撃波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、従来の理論よりも広い適用可能範囲を持つ「拡張された熱力学(ET)」理論に基づき、衝撃波の解析を行う。特に、これまでに十分な解析がなされてこなかった、不連続面(sub-shock)をともなう強い衝撃波に注目して解析を行い、その性質を明らかにすることを目的とする。 4年間にわたる本研究課題の第3年度にあたる本年度では、これまでに得られた理論解析の結果や開発した数値解析プログラムを基礎にして、さらに解析を進めた。得られた主な成果は以下の通りである。 (1-1) 多原子分子混合気体中を伝播する衝撃波の波面近傍の構造について、引き続き解析を行った。前年度に、これまでに知られていなかったsub-shock形成のシナリオを発見した。今年度は、そのようなシナリオのパラメータ依存性を完全に分類した。さらに、分類に基づき、sub-shockをともなう衝撃波構造を系統的に数値解析した。特筆すべき結果として、sub-shock形成に関する従来の予想と異なる振る舞いの例を見出した。この詳細な分類と数値解析について、論文をほぼ完成させ、投稿間近の段階まで進めた。 (1-2) 多原子分子混合気体中の超音波の解析を進めた。従来の理論では説明できなかった分散関係の説明に成功し、混合気体に対するET理論の有用性が明らかになった。さらに、この解析を通して、混合気体特有の効果の強さを示す物性値も決定できた。現在、この内容についても論文を執筆中である。 (2) 前年度に引き続き、本研究課題で開発したコードを用いて、球面・円筒衝撃波の時間発展を解析した。相似解が存在するような強い衝撃波について、導出した相似解とよく一致する解が得られ、従来のナビエストークス・フーリエ理論では説明できない効果を明確にした。さらに、相似解の導出に用いた仮定が成り立たなくなる、一般の場合についても解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の一部分において、下記のように当初計画以上の結果を得られている一方で、予想外の結果をまとめる必要があり論文執筆にも予想以上に時間がかかっているため。 (1-1) 多原子分子混合気体中の衝撃波構造の解析で、これまでに知られていなかった新たなsub-shock形成のシナリオや、sub-shock形成に関する従来の予想と異なる振る舞いの例を見出した。 (1-2) 衝撃波の解析で物性値の正確な値が必要となり、多原子分子混合気体中の超音波の解析にも着手し、従来の理論を上回る結果を得た。 (2) 球面・円筒衝撃波の解析では、本研究課題で開発した数値解析コードが重要な役割を果たし、従来の理論では説明できない効果が明確になった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は順調に進んでおり、得られている結果も良好である。来年度も引き続き解析を進めるとともに、国内外の学会で成果を報告し、論文にまとめることにも注力したい。
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Causes of Carryover |
(理由)コロナ禍で、出席予定だった国際学会が延期となり、出席した国内学会もオンラインで実施され、旅費の使用額が抑えられたため。
(計画)出張が可能となり次第、結果を広く報告して議論を深めるため、国内外の学会にできる限り多く出席する。
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