2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K04206
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
藤田 佳孝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (60357910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村本 智也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究員 (60828284)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 粘度 / 絶対測定 / 落球法 / 粘度計 / 粘度標準 / ISO / 水の粘度 / 細管法 |
Outline of Annual Research Achievements |
落球法による粘度絶対測定法確立のための落球終端速度決定を可能とする高精度な管壁補正のための実験装置を構築して、これを既設の落球実験システムに導入することが研究目的達成のための大前提となる課題である。この管壁補正のための円筒内径可変機構について、同システムの精密恒温槽内に組込む設計・製作を昨年度から引き続き行い、同機構が持つ複数の異径ガイドリング昇降動作のためのワイヤー駆動を恒温槽外部から遠隔駆動するための伝達機構の製作、円筒形を形成するためにステンレスシートのガイドリングへの巻き付けを温槽外から行うためのシート巻き取りの駆動軸の製作、および、本組込みに伴う既設の温槽断熱上蓋への追加工を完成させた。この新たに製作した槽外からの伝達機構を有する円筒内径可変機構を、別途製作したアクリル材による模擬試料槽内の測定試料油に浸漬させて動作試験を実施し、機構の動作を確認・検証した。この検証において、異径リング巻き付け動作は一通り確認できたが、次の改良点が生じた。一つは、シートのリング巻き付けのためにシート片端の巻取りに連動して他方のシート片端をガイドリングの径中心に向かってスライドさせる機構について、径に対するシートの垂直姿勢保持が不十分でスライド動作に引っかかりが生じるリスクがあるため、これを抑えるためのスライド機構部への改良である。二つ目は、シート巻取りの過不足によって生じるシートの表面歪みやリング巻付け不足による規定内径からのズレを防ぐために行う試料槽円筒部を透明アクリル製への変更で、これによりシート表面のリング張り具合を直接観察できるようにする改良である。これらの落球実験に向けた取組と同時に、粘度決定に向けた落球の密度・直径を求めるために、圧力浮遊法による密度測定セル製作や質量測定用マイクロ天びんの整備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
最終年度は、円筒内径可変機構の導入を完成した落球実験システムによる落球落下速度測定を行い、この測定値に対して管壁補正を施した終端速度を求め、落球の球直径や密度の測定と併せて中高粘度域における粘度絶対値を決定するとともに、この基準点に基づく細管法による精密比較測定を行うことで目標精度での水の粘度絶対値を決定することにより本課題を達成することが目標であった。 可変機構の実験システム導入については、研究実績に記したとおり、一通りの製作は完了したものの、油中動作検証を行ったところ、新規導入した槽外からのワイヤー駆動やシート巻取りの伝達機構については健全な動作が確認できたが、これまでの内径可変機構におけるシートの異径リングへの巻き付け動作を確実に行うためには改良課題が残っていることが判明した。これらの課題への対処に加え、コロナ禍による約三ケ月の出勤抑制や私的理由による一か月以上休暇せざるを得ない状況が生じたことで、実験や開発作業時間が十分に確保できなかったこともあり、前年度からの遅れにさらに遅れが加わり実験開始を可能とするまでには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
円筒内径可変機構に対する改良案件を完遂させて実験システムへの組込みを完成させて、遅くとも年度第3四半期中には最終となる今年度の目標である落球測定実験を実施し、管壁補正式決定と落球終端速度決定を目指す。同時に、製作した圧力浮遊方式による密度差測定のための球体用測定セルによる測定から球体密度を求めるとともに、球体質量測定を行い、その結果と密度から球体直径を導出する。以上により求めた各量に基づき粘度絶対値を決定する。決定された中高粘度域測定試料の粘度絶対値に基づく細管法による水の粘度絶対値決定は、粘度標準の校正装置を用いて落球実験と並行して進める予定である。
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Causes of Carryover |
現在までの進捗状況で挙げた取り組みの遅れによって落球実験を実施するために必要となる経費が使われていないことが次年度使用額が生じた主な理由である。今年度の落球実験実施に向けた円筒内径可変機構の改良、必要となる既設の落球自動落下・回収機構の一部改良、およびそれらを含めた実験システム全体の装置組立と測定にかかる試作・役務作業案件、既設速度装置の改良と球体直径決定のための質量・密度測定に必要となる試作や消耗品類に充てる予定である。
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