2021 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトな有機表面材料によって発現する界面親和性に関する分子論的メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K04209
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊川 豪太 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (90435644)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 熱工学 / 分子動力学 / 界面親和性 / 有機分子修飾膜 / 輸送特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,分子動力学シミュレーションを用いて,SAM有機分子薄膜を初めとしたソフトな分子修飾表面と液体界面における界面自由エネルギー・付着仕事の定量的評価手法の確立を行うことを目指し研究を行った. 2021年度においては,昨年度に開発した局所応力テンソル解析手法を用いて,疎水性の異なるSAM界面での親和性評価を行った.典型的な疎水性末端(メチル基,-CH3)をもつアルカンチオールSAMと水の界面に加えて,やや親水性な性質を有する末端基(100度程度の接触角を示すメトキシ基,-O-CH3)を持つSAM界面を解析対象とした.3相接触界線付近に検査体積を設け,固液界面接線方向の力学バランスを解析した結果,疎水性およびやや親水性の末端とも系統的誤差を上回るような大きなピニング力が作用していないことが明らかとなった. 研究期間全体を通じ,ソフトな界面における固液親和性の解明を志向し,一般的に利用される指標である接触角のみならず,詳細な界面の相互作用エネルギーや,検査面における応力テンソル解析(MoP)を用いて,液滴接触状態に関する微視的スケールでの解析手段を確立した.今回解析を実施したSAM表面においては,明確なピニングを生じておらず接触角に対する影響は小さいと考えられる.この結果は,比較的表面の乱れが少ない100%のSAM被覆密度が要因であると考えられるため,今後は化学的・物理的な不均一性を含む界面モデルでの解析に展開する予定である.
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