2020 Fiscal Year Research-status Report
Co-production system for electricity and hydrogen production from industrial wastes
Project/Area Number |
19K04211
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
アズイッズ ムハンマッド 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (40611190)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 産業廃棄物系バイオマス / エネルギー高効率化 / エクセルギー回収 / プロセス統合 / プロセス設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、エクセルギー回収およびプロセス統合の2つの技術を同時に検討し、産業廃棄物系バイオマス(黒液、パーム椰子空果房(EFB))に特化した独創的なエネルギー変換プロセスを提案する。エクセルギー回収では、ある特定のプロセス内のエネルギーや熱を効率的に循環させ、エクセルギー損失を最小化する。
2020年度には主にケミカルルーピングの基礎実験、各プロセスモジュールの要素技術の洗い出し、全体のプロセス設計を行った。ケミカルルーピングの基礎試験については、試験装置の開発が終了し、基礎的な試験を行い、モデル開発に必要とするデータを取得した。個々のプロセスおよび全体のシステム設計においては、2019年度中に開発したモデルを基に、廃棄物および低品位燃料からの水素製造システムの最適化を行った。プロセスシミュレーションでは、廃棄物系バイオマスを最終的に水素貯蔵性が優れたアンモニアに変換した。最適化を行うことで、約60%以上の全エネルギー効率が得られた。また、低品位燃料については、低品位炭を利用し、システムの開発を行った。システムは主に乾燥、個体ダイレクトケミカルルーピング、アンモニア合成、発電システムから構成されている。提案したシステムの最高理論効率が約58%であり、既存のシステムおよび先行研究と比べ、大変高い全エネルギー効率を実現できた。
上記の研究から本年度の研究成果としては、学術論文3件、本章1件、国際学会2件(実施済み、招待講演)である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度には、基礎試験およびプロセス設計両方を同時に行うことができた。基礎試験では無事に試験装置の開発が終了し、実試験も行うことができた。また、基礎試験から得られた基礎的なデータを一部プロセス設計に利用し、より精度の高いプロセス設計・評価ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度にはケミカルルーピングの試験を引き続き行う予定ある。様々なケミカルルーピングに利用可能な酸素キャリアの反応試験および評価を行う予定である。還元反応試験では、廃棄物系バイオマスのガス化によって得られる合成ガスを模したガスを酸素キャリアと反応させ、還元された酸素キャリアと生成ガスを調べる。一方、酸化反応試験では、還元された酸素キャリアをスチームと反応させ、酸化された酸素キャリアと生成ガスを調べる。本実験では三種類の酸素キャリア(Fe2O3、NiO、CaSO4)および運転温度(700 ℃~各融点以下)・圧力(0.1~2 MPa)の影響を評価する。また、反応の安定性についても評価を行う。
プロセス・システム設計については、可能性の高いシナリオを想定し、より現実に近いシステム設計を行う。ガス化・ケミカルルーピングの実験とプロセスモジュールの結果を利用して、全プロセスを統合する。最終年度には主にすべてのエネルギー・エクセルギーを含むプロセス評価を行い、構築したシステムの仕上げを行う。
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