2020 Fiscal Year Research-status Report
金属箔ベルト法を用いたTBABセミクラスレートハイドレートの生成
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19K04213
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
寺岡 喜和 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (10365025)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 結晶成長 / TBAB水和物 / 凝固 |
Outline of Annual Research Achievements |
TBAB水溶液を冷却することで得られる水和物結晶の生成挙動と結晶状態に関する2種類の観察実験を行い,以下の結論を得た. 一方の金属箔ベルトを用いた連続生成実験において,40wt%水溶液を試料とし,板状水和物の連続生成可能な条件を示した後,生成条件によって一方向成長と核生成の異なる2種類の生成挙動を観察した.前者は,ベルト送り速度1.0 mm/min以下でのみ確認された.また,それ以上の速度においては,後者となるが,その最大速度は4 mm/minであることを明らかにした.得られた結晶はその濃度からタイプAであることを確認した.さらに,この核生成の単位面積あたりの核生成頻度と速度,および,冷却板温度の関係を明らかにした.加えて,生成された板状水和物の結晶状態を観察した結果,一方向成長によって生成された固相部分には筋状の結晶粒,核生成によって生成された固相部分には微細な結晶粒を確認し,ベルト送り速度の増減による結晶状態制御の可能性を示した. もう一方の実験では,PMMA樹脂平板とガラス平板を平行にして設けた0.5mmの空間に10wt%および40wt%の水溶液を満たし,これを冷却することで成長する結晶の観察を行った.その結果,異なる結晶構造を持つType A, Bの2種類の結晶をそれぞれ単結晶として発生させることに成功した.両結晶ともに,固体壁面上を伝播する成長初期の形状は矩形となり,過冷度の増加とともに正方に近づくことを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初,最も懸念されていた目標であるTBAB水和物の金属箔ベルト連続生成を実現したことは大きな進展である.また,平板間のおける結晶観察において,微小な結晶サイズからの初期成長を観察する手法を確立したことも,今後の研究の進展に大きく寄与することが予想される.しかし一方で,新型コロナウィルスによる研究活動自粛のため,当初予定していた実験回数を確保できず,取得したデータの実験条件が広範であるとは言えない.以上のことから,若干の遅れがあると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
金属箔ベルト連続生成実験においては,水溶液濃度の影響について明らかにすることに主眼を置いて研究を進める予定である.通常,得られる水和物は結晶構造,および,水和数が異なることから,水溶液濃度によって異なるタイプの結晶が出現する可能性が高く,その成長挙動もこれまでの結果とは大きく異なることが予測される. また,平板間での結晶成長実験においては,水溶液濃度および過冷度で実験を行い,広範な条件における成長速度の測定を行う. 以上の実験についてある程度の成果が得られた段階で,両成果を有機的に統合し,異なるタイプの結晶成長と水溶液濃度および温度に関して,非平衡状態での結晶成長について検証を行う予定である.
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Causes of Carryover |
実験で当初予定からの遅延が生じ,その装置,および,消耗品の購入を遅らせたことが理由である.これらの購入を計画通りにすることも可能であったが,万全を期するため,実験結果を検証した後に装置仕様,購入量を決定することとした.
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Research Products
(1 results)