2019 Fiscal Year Research-status Report
旋回羽根角度時間可変燃焼器の開発に基づく燃焼安定化制御への応用
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19K04215
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小宮山 正治 岐阜大学, 工学部, 教授 (40178372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 哲 岐阜大学, 大学院工学研究科, 准教授 (30377783)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 予混合火炎 / 旋回羽根 / 時間可変角度 / 燃焼安定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,大型燃焼器に使用される希薄予混合燃焼に関して,逆火の危険性から旋回羽根後流で燃料と空気を急速に混合する必要があり,混合状態が不完全で不均一性が高い予混合状態で火炎を形成するために,局所的高温領域が発生し,光化学スモッグ・酸性雨の原因となる窒素酸化物(NOx) 排出を増加させる要因となる.このため,逆火の危険性を抑制させて均一な混合状態を促進し,安定した火炎状態を維持するための燃焼法を確立することが急務となる.また,工業用燃焼器は管壁で覆われており,旋回流を伴う流れによる渦崩壊や渦心の歳差運動による火炎の非定常挙動がより複雑となる. そこで,レーザ応用による時系列画像計測を開発し,管内旋回流をともなう燃焼場における火炎の動的挙動の可視化を可能として,その非定常伝播特性を解析することが燃焼現象の理解および安定燃焼法の確立には重要であると考える.一般には,燃焼状態を変化させるためには,燃焼負荷(空気比および総流量)を変える必要があるが,本研究ではそれとは異なり,燃焼負荷一定の下で,旋回流強さのみを変化させ,火炎の安定化制御への応用を検討する. 本年度は希薄予混合燃焼器を模擬した実験装置の開発を進めた.燃焼室には室内にレーザを導けるように石英ガラス製の円筒を用いた.さらに旋回羽根の手前でメタンと空気を混合し,旋回羽根により旋回を与えている.旋回強さは混合状態に直接影響を与える重要なパラメータである.このため,新規の独立時間可変旋回羽根の設計製作を行った.これは円周上に配置したすべての旋回羽根に独立のステッピングモータを直接軸付けするものである.この時間可変旋回羽根を用いることで,旋回羽根角度を十分な変化速度で増減可能になると考える.そして,実際の流れ場に旋回流強度の時間可変操作を可能として,その適用性を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は新規の独立時間可変旋回羽根の設計製作を行った.このスワーラは円周上の36枚の各旋回羽根に対して,ステッピングモータが1つずつ直接につながっており,コントローラから発信されたパルス信号を36個のモータが同時に受信することによって運転を同期させる仕組みである.それにより全ての羽根の角度を同時に制御することが可能となる.使用する実験用燃焼器は予混合気供給部分と燃焼室を模擬した石英ガラス製の円管から成る.燃料ノズルから半径方向に燃料であるメタンを噴出させ,空気と混合させた後,その混合ガスが可変旋回羽根付きスワーラを通過する.その後,混合ガスは石英ガラス管に沿って旋回を伴って流れ,管出口より大気中に開放される.新規に開発製作したスワーラを実験用燃焼器に組み込み,旋回強度を往復変化させて,その場での時系列PIV計測を行い,未燃焼場における旋回羽根の時間的変化と流れ場の関連性を明らかにした.次に,トレーサ粒子としてオリーブ粒子を利用することで,燃焼場における流れ場と火炎挙動の同時計測を可能として,その関連性を明らかにすることに成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方策としては,今年度購入した高速画像データ転送用カメラを本システムに組み込む.次に,旋回羽根角度の時間変化による円管内流れ,および火炎の非定常挙動のデータを蓄積する.リアルタイムでの時系列画像データから円管内流れおよび火炎挙動を予測し,火炎安定化のために必要な旋回羽根角度の変化情報を出力する.さらに,出力したデータに基づいて,旋回羽根角度の時間変化量を調整する.円管内流れおよび火炎の挙動の時間変化を計測して,旋回羽根角度の信号のフィードバックを行い,火炎挙動の安定化を向上させる.
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Causes of Carryover |
本年度は購入した高速画像データ転送用カメラを燃焼挙動の制御システムに組み込むことを行った.しかしながら,コンピュータ,制御ボード,旋回羽根を動かすためのステッピングモータ,および画像データ転送用カメラをつなげるための制御コードの開発に時間を要したために実験回数が少なくなり,燃料ガスなどに使用する予定であった消耗品費に未使用額が発生した. 次年度は昨年度作成した制御コードに基づいて,火炎挙動の制御のための実験を実施し,火炎挙動の安定化の適用性を明らかにしていきたいと考える.このために未使用であった消耗品費を使用する予定である.
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Research Products
(1 results)