2019 Fiscal Year Research-status Report
金属被覆収着剤粒子等の複合材料における新たな熱物質移動特性の解明と空調への展開
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19K04218
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
堀部 明彦 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (50229241)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | デシカント空調 / 水蒸気収着 / 複合粒子 / 熱物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,高分子有機系収着剤に機能性を付加した金属被覆収着剤粒子などの新材料の熱 物質移動特性を解明し,その特性を有効利用した革新的な水蒸気・脱着(デシカント)空調 システムを開発することを目的としている.デシカント空調システムの進展には,材料と機 構両面からの革新的な発展が望まれており,本研究では,従来のシリカゲルなどの無機吸着 剤と比較して優れた特性を有している高性能な高分子材料に新たな機能を付加するために, 材料粒子に金属被覆やコア物質などを加えて複合材料とすることにより,これまでにない熱 物質移動の飛躍的改善を図り,粒子層型の新規高効率空調システムの構築を図るものである. 2019年度は,粒子層にて,複合収着剤粒子の特性を考慮した水蒸気の出し入れ(乾燥と水蒸気収着)を行うために,平衡収着量や収着速度,および粒子層内の熱の移動に作用する熱伝導率など様々な因子を把握した. まず、試料として,(A)コア有収着材粒子としてガラスや金属の コアに収着剤を塗布した粒子と(B)金属被覆収着剤粒子の 二種類について,材質を変えた粒子を入手して,熱物質移動特性とそれが関与する水蒸気収脱着性能を明らかにした.収着剤粒子の比熱や水蒸気平衡収着量など基礎的な物性値については,収着量測定装置を用いて,粒子層の有効熱伝導率や温度伝導率は,温湿度が制御できる熱伝導率測定装置を製作して測定し,各種熱物性値を検討した. 熱伝導率測定装置は,平板比較法を用いて収着剤試料充填層の有効熱伝導率を測定するものであり,試験部,直流電源装置,恒温槽,電流計,電圧計,空気制御部から構成されている.試験部は上面がヒーター,下面が冷却面であり,試料充填部は底面80×80mm,高さ60mmの直方体である.ヒーターはニクロム箔でできており,直流電源装置に接続して通電することで加熱した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は, 試料として,コア有収着材粒子としてガラスや金属のコアに収着剤を塗布した粒子と金属被覆収着剤粒子を協力企業より入手して,熱物質移動特性とそれが関与する水蒸気収脱着性能を明らかにすることができた. 具体的には,収着量測定装置を用い水蒸気平衡収着量などを測定し,粒子層の有効熱伝導率については,熱伝導率測定装置を製作して測定した. このように,当初予定していた,粒子層にて複合収着剤粒子の特性を考慮して水蒸気の出し入れを行うための基礎的データを得ており、ほぼ順調に研究が進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定としては,粒子の影響について一般化するために複合粒子を充填した粒子層の熱伝導モデルを検討し,さらに,空気との熱と水蒸気の移動を考慮するモデルも検討する.さらに, 収着剤複合粒子を充填して下部より空気を流入し, 収着剤の収着と脱着(乾燥)による空気の除湿サイクルをバッチ式にて行うための装置検討および実験装置の作製を行う.実験装置は大別して空気 制御部および試験部から構成する. 関連する条件を変化させた際の基本的特性を把握するために,実験因子として,空気流速,温度,湿度等を変化させ,熱と水蒸気の移動量に関する知見を得る.
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Causes of Carryover |
予定より安価な鏡面露点計を購入したことや,台風や新型コロナウイルスの影響によって発表予定であった学会が中止になったことにより、研究期間全体の活性化を考え,残金を生じさせたが、次年度以降に研究に必要な機器の作製などに有効に用いることにより、より本研究を発展させたい.
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