2019 Fiscal Year Research-status Report
濡れ性勾配を有するマイクロ複合伝熱面による凝縮伝熱促進実現と燃料電池への応用展開
Project/Area Number |
19K04227
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
徳永 敦士 宇部工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (20609797)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 伝熱促進 / 滴状凝縮 / 濡れ性勾配 / MEMS |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに,凝縮伝熱促進を実現するために高い熱輸送特性を有する滴状凝縮を活用した複合伝熱面を製作している.この伝熱面は疎水面と親水面を交互に配置することにより,疎水面上で発生した液滴を親水面の液膜によって除去することで,滴状凝縮の離脱半径を小さくできる点に特徴がある.さらに,液滴の排水を促進し,フラッディングを抑制するために疎水面と親水面の幅を流れ方向にテーパーを設けている.この構造を濡れ性勾配と呼び,この複合伝熱面は,疎水面上の液滴の離脱半径制御と,さらに巨視的な液滴離脱半径の制御を実現するものである.これまでに,この濡れ性勾配の効果について検証するために,様々な形状の濡れ性勾配を製作してきた.20mmのシリコンウエハを基盤として,60micron,200micronを底辺に20mmの長さで徐々にパターンを細くする形状(三角形)を疎水・親水交互に配置している.これによって,疎水面上の液敵半径制御と,複数パターンを跨る液滴の積極的な離脱を実現し,凝縮伝熱促進を達成した.しかしながら,パターンの最適化については十分な検討はできておらず,これまでのパターンに加えて中間程度のサイズである100micronのパターンを製作した.これによって,60micronのパターンと比較すれば疎水面上の液滴の大きさは大きくなるものの,巨視的な離脱半径の離脱促進効果は大きくなることが期待される.その結果,これまでの結果とほぼ同様の伝熱促進効果を実現することができた.すなわち未だ十分な最適設計は実現できていないため,より効果的な複合伝熱面の製作に取り組む計画である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
伝熱促進に効果的な濡れ性勾配の製作及び凝縮実験を進めることを初年度の計画としている.複合伝熱面の製作についてはこれまでに製作フローを構築しており,問題なく進めることができている.また最適化のためのパターン形状の変更や実験については引き続き検討を要するが,これまでの実績をもとに製作・実験することで目的は達成できると考えている.凝縮実験については既に装置が完成しているため,実験遂行の問題点はない.一方で,燃料電池内の水分管理に関する研究に関しては現在実験装置を構築している段階であり,2年目はデータのサンプリングを行い結果を報告していく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は,液滴輸送効果を定量的に評価するために,濡れ性勾配のパターンと駆動力の関係を明らかにする計画である.理論的検討と実験的検討によって,伝熱促進実現のための濡れ性勾配形状の最適化が実現できるものと考えている.そしてその結果を反映して伝熱面を製作,凝縮実験を行い,熱輸送特性の効果について検証する.また,今年度は燃料電池の発電特性向上のために濡れ性勾配を活用した水分管理について検討する.燃料電池内部に濡れ性勾配を設置することによって,燃料電池内分の水分管理を行うものである.
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Causes of Carryover |
年度末に機能性伝熱面の製作を行うために予算立てをしていたが,実験がスムーズに進行したため製作のための施設利用料が予算内に収まった.残額は令和2年度の研究において,機能性伝熱面を製作するために使用する計画である.
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Research Products
(2 results)