2023 Fiscal Year Annual Research Report
相転移温度近傍における電気/磁気双極子秩序の同時制御による新奇冷却素子の創製
Project/Area Number |
19K04229
|
Research Institution | Hyogo Prefectural Institute of Technology |
Principal Investigator |
泉 宏和 兵庫県立工業技術センター, その他部局等, 部次長 (70470226)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 圧電応答 / 磁気応答 / 交差相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
微小領域における高精度な温度制御に必要な、駆動部を持たず小型化の可能な冷却技術として、制御の容易な電場を用いる電気熱量効果を利用する冷却技術が注目されている。その作業物質として、印加した電場によって分極だけでなく磁気スピンも制御することが可能とされる「マルチフェロイクス物質」を用いることで、より効率の良い冷却システムの構築が期待できる。本研究では、高電場印加の可能な電気絶縁性に優れた高品質薄膜作製プロセスを確立し、マルチフェロイクス物質の相転移温度近傍における分極と磁気スピンの相関について明らかにすることで、新規冷却素子の創生についての知見を得ることを目的とした。 高品質薄膜作製プロセスの確立については、その場レーザー光援用照射を伴う薄膜作製法による高品質薄膜の作製に取り組んだ。援用照射レーザー光のパワー密度を変化させながら成膜を行うシステムを構築し、成膜条件を最適化することにより、電気絶縁性に優れた高品質薄膜を得ることに成功した。 次に、格子定数の異なる単結晶基板上に、エピタキシャル歪を利用することで様々な応力を印加した薄膜を作製し、圧縮および引張応力の大きな試料で圧電応答が大きくなることを明らかにした。また、元素置換により転移温度を制御した薄膜について誘電特性の温度依存性の評価を行い、鉄酸ビスマス系における元素置換が絶縁特性の改善と相転移温度の制御のいずれにも有効であることを見出した。さらに、分極および磁気スピン秩序の相関を評価するため、既存の走査型プローブ顕微鏡で同一視野における圧電応答および磁気応答を観察するための測定系を構築し、元素置換を行った系にて分極反転に伴って磁気スピン秩序が反転することを明らかにした。
|