2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on a new simple prediction method of the melting in the complex convection
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19K04231
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
中村 雅英 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (60172441)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 相変化 / 物質移動 / 複合対流 / 流れの可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
塩化ナトリウム水溶液,塩化マグネシウム水溶液,塩化カルシウム水溶液を対象として,濃度と融解量を簡潔に予測する予測式を導いた。この導出には,以前に導いた式に対して,拡散係数の予測方法を新たに考慮した点に特徴がある。なお,この拡散係数が溶けている物質の濃度に対し依存性があることは明らかなので,その依存性が現れることも確認してある。この式は,様々な相変化物質にも適用できる可能性があるので,相変化物質によるエネルギー貯蔵を行う際,重要となる可能性がある。 次にこの式の妥当性を調べるため,塩化ナトリウム水溶液,塩化マグネシウム水溶液,塩化カルシウム水溶液を対象として実験的に融解量を求め比較した。なお,上述の式にはあらかじめ定めておくパラメータが一つあるため,そのパラメータを変えることによって,融解量の濃度依存性がどの程度正しく再現できるかということについて検討した。その結果,特に塩化ナトリウム水溶液の場合に一致が悪くなるということが明らかとなった。 以上の結果の物理的メカニズムを明らかにするため,低恒温室内で融解面近傍の流れの可視化を行った。可視化の結果,特に塩化ナトリウム水溶液の場合において,渦の発達が早くなることが分かった。すなわち,塩化ナトリウム水溶液の場合には実験開始直後から二つの渦の形成が始まることが分かった。ただし,装置の予備実験等に時間を要したためデータ数が限られて結果の再現性に問題が残ること,および気泡の混入があったことなど問題点もあるので,さらに実験を続ける必要があることも明らかとなった。これらの問題を解決し,実験データとの比較をおこなうことにより,さらに優れた式を導出することが今後の課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以前に導いた式を拡張し,濃度依存性を考慮することができるようになったことは重要な結果であると思われる。また,この式の有効性についても考察し,特に塩化ナトリウム水溶液の場合において,予測精度が悪くなることがわかったことも重要な結果である。さらに,可視化についても順調に進展し,塩化ナトリウム水溶液の場合は渦の形成が早くなることが示唆されたことは注目すべきと思われるが,まだ結果について信頼できるものではない。すなわち,気泡の混入を防止することや再現性を確認することなど課題も多く残されている。さらにこのことを予測式に反映させる必要もある。以上の理由から,おおむね順調と判断したものである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,昨年度に引き続き流れの可視化に重点を置いて研究を行う。具体的には,気泡の混入を防止する手段を確立すること,およびデータを増やして結果の再現性を確認すること,である。これらのことにより,信頼のおけるデータを得て,それを予測式に反映させることを検討する。また,場合によっては塩化ナトリウム水溶液,塩化マグネシウム水溶液,塩化カルシウム水溶液以外の水溶液に対しても研究を実施し,予測式の適用範囲についても考察する予定である。基本的な装置は昨年度完成しているので,それをそのまま利用する予定である。そのため,多くのデータが得られるものと期待している。
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Causes of Carryover |
流れの可視化に対する予備的チェック(撮影条件に関する検討、トレーサーの種類に関する検討等)に予想外の時間を要してしまい、実験した回数が予定よりやや少なかったこと、および新型コロナウイルスのため、出張をキャンセルしたことが主な原因である。次年度は、実験回数を増やして多くのデータを獲得する予定である。装置はほぼ完成しているので、十分可能と思われる。さらに、情報収集を目的とした出張にも行く予定になっている(ただし、新型コロナウイルスが終息した場合のことであるが)。
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