2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on a new simple prediction method of the melting in the complex convection
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19K04231
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
中村 雅英 秋田大学, 名誉教授, 名誉教授 (60172441)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 相変化 / 物質移動 / 複合対流 / 流れの可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、塩化ナトリウム水溶液、塩化マグネシウム水溶液、塩化カルシウム水溶液を用いて水平氷板の融解実験を行った。特に今年は、気泡の混入を防ぎながら可視化を行うことに重点をおいた。さらに実験の結果、特に初期段階の変化に特徴が認められたので、撮影は5分毎に実施した。 その結果、融解ともに形成された渦の領域が時間とともに小さくなる様子を明確にとらえることができた。さらに、この渦の存在は、溶媒が塩化ナトリウムの場合においては、溶媒が塩化マグネシウム、または塩化カルシウムの場合より長い間維持されることも認められた。 一方、融解量の予測式との一致は昨年度報告したように、溶媒が塩化ナトリウムの場合において特に悪くなる。そして予測式の導出においては、流れ場にさまざまな仮定が用いられている。以上のことから、溶媒が塩化ナトリウムの場合においては複雑な流れが長期間維持されることになり、その結果として予測式の導出に用いた仮定が成り立たなくなり、予測精度が落ちたものと考えられる。以上のことが明らかとなったことが当該年度の最も重要な結果と思われる。なお、この結果が得られた理由として、溶液の粘性も考えられる。すなわち、溶媒が塩化ナトリウムの場合には溶媒が他の物質の時に比べて粘性が顕著に変化し、その結果として上の結果が導かれたという可能性もある。そのような理由から、本年度はウベローデ粘度計を用いて粘性を測定した。その結果、溶媒が塩化ナトリウムの場合でも粘性は特に大きく異なることはなく、上記の可能性は低いことが示唆された。ただ、これ以外にも様々な原因が予想される。今後とも、以上の結果が得られた原因について検討することが要求される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
気泡の混入を防止し、かつ撮影時間を5分と短くしたことにより、溶媒の違いが流れ場、特に渦の形成に及ぼす影響が明確になったことは重要な結果と思われる。さらに溶媒が塩化ナトリウムの場合においては、溶媒が他の物質の時よりも渦の維持時間が長くなったことが示されたことは、溶媒が塩化ナトリウムの場合においては溶媒が他の物質の時よりも予測精度が悪くなったことを説明できることに繋がるものと思われ、さらなる発展が期待できる。 当該年度は、コロナ禍のために実験回数が予定より少なくなり、かつ県外への移動も制限され、調査などを目的とした出張にもほとんど行くことができなかった。その分、文献検索でカバーするように心がけたがやはり制約が大きい。これらについては、次年度に期待したい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は可視化実験及び融解実験を継続し、データの信頼度を高める予定であり、提案している予測式との比較も詳細に行う予定である。また、本研究の特徴を明らかにするために、既存研究の調査にも力を入れる予定であり、媒質の差が融解に及ぼす影響についてさらに詳細に調べる予定である。なお、新型コロナウイルスの状況にもよるが、可能なら学会出張や資料取集にも出かける予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のために、実験回数が予定より少なくなったこと、および県をまたぐ出張に行けなくなったことが次年度使用額が生じた大きな理由である。この分は、可視化実験及び融解実験の信頼度を高めることに活用する予定である。具体的には、実験回数を増やすこと、溶液の粘性測定を継続すること、トレーサー等の検討を続けること、などがあげられる。
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