2019 Fiscal Year Research-status Report
放電路挙動の制御による希薄予混合気の着火促進機構の解明
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19K04233
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
窪山 達也 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (80578831)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 点火 / 着火 / 放電 / 火炎核形成 / 初期燃焼 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,放電路挙動と点火(着火)安定性の関係を調べるために,高速度赤外カメラを用いた火炎核と放電路の同次可視化技術を構築した.構築した可視化技術を定容燃焼容器内での火花放電~着火過程の可視化観察に適用した.すなわち,センサ冷却型高速度赤外カメラを用い,CO の放射波長帯を可視化し,シュリーレン撮影や放電路の直接撮影との同一光路同時撮影を行うことで,火花放電点火による初期火炎形成過程の観察を試みた.得られた知見を以下に示す. (1) 可視領域の放電輝度が強い高電流型フルトラ式点火コイルでの放電においても,CO 放射帯域の放電輝度は初期火炎核輝度に比べ無視できるほど十分小さい.そのため,放電路と初期火炎核の分離観察が可能であることが示唆される.(2) 流動場での火炎形成過程において,CO 放射像とシュリーレン像を比較するとCO放射像に比べシュリーレン像はより広い領域に像が形成される.シュリーレン法では放電による加熱や火炎による予熱により,反応帯だけでなく予熱帯にも像が生じるためである. (3) 流動場において放電路伸張に沿って初期火炎が形成される.放電路のショートカットやリストライクが発生した場合でもその後の放電路伸張に沿った形で火炎が形成され,放電が終了した後も電極近傍に CO 放射像が存在する.(4)また,放電パターンの異なる複数の放電コイルを用いて,放電パターンが初期火炎核形成に及ぼす影響を調べた.この結果,放電エネルギーが一定であっても,強い流動場においては放電電流が大きく,放電期間が短い方が着火安定性が高まるが,弱流動場では放電期間を長期化した方が着火安定性が高まることなどが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに,高速度IRカメラを使った初期火炎の可視化計測技術を確立でき,定容容器内の火花点火・着火現象の可視化観察に成功しており,当初の予定通り進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに構築した可視化技術を実用機関に適用する.同時に,燃焼圧力の計測を行い,熱力学的解析を実施する.ここでは,放電電流波形と放電エネルギー,放電回数などと燃料成分をパラメトリックに変化させ,実機内における放電路挙動および初期火炎領域と燃焼安定性の関係,燃料依存性を明らかにする.
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