2019 Fiscal Year Research-status Report
発熱量が変動しても温度調整できる高熱流束対応冷却システムの開発
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19K04249
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
白川 英観 富山高等専門学校, その他部局等, 教授 (00295122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福江 高志 金沢工業大学, 工学部, 講師 (80647058)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 沸騰伝熱 / 脈流 / 電子機器 / 冷却技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
発熱量が変動しても電子デバイスなどの温度を一定に維持できる高熱流束対応の冷却システムを,ベンチュリー管形状の流路が狭くなる細管部に伝熱面を配置した構造で開発することが研究目的である. 本年度は,ベンチュリー管型熱交換器での実現性を確認するために,予備実験装置を製作し,流量や管内圧力の効果の傾向を調べた.その結果,流量や試験部内の圧力を変えることで,沸騰様相が変わることを確認した.一方,ベンチュリー管型熱交換器の数値解析を行うために,OpenFORMによる予備解析を行った.気液割合を変数とする解析ソルバーであり,気泡形状等は求めることはできないが,大まかな熱輸送量を求めることができることが分かった. 脈流の細管における沸騰現象に及ぼす影響を調べるために,まず,沸騰しない時の単相による強制対流の実験を行った.脈流によって,定常流の時に比べ伝熱量が増加し,伝熱性能が向上することを確認した.さらに,単相の強制対流に関してOpenFORMによる数値解析を行った結果,実験同様に脈流により定常流よりも伝熱量が増加し,伝熱特性が向上することを確認した.これらの結果は,学会等に発表した.加熱する熱流束を高くした結果,伝熱面上で気泡が発生し,沸騰現象になった.その状態で,脈流を与えると,伝熱面に発生した気泡が脈流により離脱させられる現象が高速度カメラによる撮影動画によって観察された. 本年度の実験および数値解析の結果から,ベンチュリー管型熱交換器の可能性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ベンチュリー管型熱交換器の開発のための予備実験を行った結果,沸騰現象を生じることができる高熱流束の加熱器が必要であり,加熱器の開発を行ったが,目標とする膜沸騰現象に至らず,再設計した.さらに,流体も80℃程度の高温を使用する可能性があるため,ポンプが耐えられる温度に関しても検討を行った.また,脈流を測定するための流量計も,高温度に耐え,さらに,1Hz程度の脈流による流量の変動を測定できる測定原理方法や機器の選定に時間を要した.このように,今までの強制対流熱伝達での実験装置で運用するには不十分な点が多く,試験部以外の実験装置全体の設計および機器選定に時間を要した. 数値解析において,OpenFORMで得られた結果から,単相による強制対流では脈流により,定常流に比べ,伝熱量が増加し,伝熱性能が向上することが分かった.しかし,沸騰現象を解析するにあたり,OpenFORMの沸騰現象を解くソルバーで対応できるか確認している段階である. 以上のように,実験においては,既存実験装置からの改良のための設計・機器選定に時間を要し,年度末に機器購入および実験装置組み立てを行っている.数値解析は,OpenFORMにより解析できる可能性が分かったので現在,実験の試験部に合わせて解析する段階にある.したがって,「やや遅れている」と判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
実験装置の機器選定および設計が終了し,製作・組立段階になっている.また,試験部となるベンチュリー管型熱交換器も設計製作している.実験装置完成後に,流量や管内圧力の沸騰曲線に及ぼす影響を検討する.また,細管部における核沸騰での脈流による気泡の離脱は確認できているが,膜沸騰時に脈流により気体を剥離できるか確認する.さらに,離脱した気泡は消泡するかも確認する実験を行う. 数値解析では,沸騰現象時の実験結果と比較し,OpenFORMで計算した沸騰現象時の伝熱量の精度を確認する.その後,実験装置での試験部における数値解析を行い,実験と比較する. 以上の方策で研究を進める.
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Causes of Carryover |
実験装置の機器選定において,想定していなかった検討点が生じ,機器の性能や耐環境の確認に時間を要した.そのため,購入時期が遅れて,本年度末での購入になった.また,機器変更に伴う配管の再設計・製作が本年度末までに実施できず,一部の実験装置材料の購入ができなかった.さらに,新型ウィルスによって中止となった学会発表用の旅費もあった. 以上のように,次年度に持ち越しとなった次年度使用額は,実験装置製作の材料費等が大半であり,実験装置完成に向けて,次年度予算と合わせて使用する計画である.
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Research Products
(9 results)