2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K04250
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 栄一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 上級主任研究員 (90357369)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 点火 / レーザー固体相互作用 / レーザーブレイクダウン |
Outline of Annual Research Achievements |
レーザーと固体の相互作用により点火しきい値エネルギーが顕著に低下する現象は広く知られている。この現象のメカニズムの解明は、レーザー点火技術の実用化に向けた重要な知見を与えるだけではなく、近年の高効率エンジンの開発に向けたスパーク放電の高エネルギー化における内燃機関等の点火においても発生を伴っている放電電極金属のアブレーションが点火に与える影響を検討する上で重要である。 本研究ではそのメカニズムを解明するためにレーザーターゲット相互作用実験の実施及びシミュレーションに取り組む。前年度のレーザー集光スポットプロファイルの軸方向分布評価実験に基づき、ターゲット材料、およびそのターゲット表面とレーザー焦点距離の点火に与える依存性について調べた。 その結果、焦点からターゲット表面までの距離に対する点火しきい値エネルギーの特異な依存性が得られた。焦点がターゲット表面から離れている場合にはターゲット材料のアブレーションしきい値と点火しきい値エネルギーは良い一致を示したこと、および焦点がターゲット表面位置に近い時にはむしろ過大なレーザーエネルギーを投入しないと点火に至らないことが明らかとなった。前者は金属蒸気の発生に近いアブレーションしきい値近傍という極めて低いレーザーエネルギーでも予混合気の点火が可能であることを示し、後者はシュリーレン計測による流動の可視化計測から、ブレークダウンプラズマに起因する渦流動の形成が点火を阻害していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年度までに予定したレーザーと固体の相互作用に基づく点火現象に関する実験的研究を進め、空間でブレークダウンプラズマを形成した場合と比較した点火しきい値エネルギーの顕著な減少、並びにその依存性に基づく点火メカニズムの考察に至ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今回観測されたアブレーションによる点火しきい値エネルギーは従来より広く用いられているスパーク放電の容量放電エネルギーと同程度である。その考察のためシミュレーションに基づく影響の評価を実施する。
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