2019 Fiscal Year Research-status Report
音響放射圧による液面形状変化を利用した超音波プローブ評価システムの開発
Project/Area Number |
19K04253
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
野村 英之 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (90334763)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 音響放射圧 / 音響流 / 音響パワー / 音圧 / 超音波プローブ |
Outline of Annual Research Achievements |
超音波プローブの新たな評価方法の確立を目的を目指す. 超音波診断・治療おいて,使用される超音波プローブの出力評価は重要な検査項目である.特に安全面から,プローブから放射された音響エネルギーがどの位置にどのくらい集中しているか」を測定することが重要である.しかしながら,音響パワーと音圧分布を同時に短時間で評価する方法は未だ確立されていない. 本研究では,液面に作用する超音波放射圧計測を応用した超音波プローブの新しい評価方法を提案する. 測定法の確立にあたっては,(1)超音波の液面入射時における放射圧による液面形状変化の測定技術の確立と液面変位予測モデルの構築,(2) 液面形状分布から放射圧分布・音圧分布・音響パワーを推定する方法を確立,(3)最終的にはこれらの自動測定システムの構築を行う.開発に あたっては音響流を考慮した測定法や,表面張力の影響の検討も行う. 2019年度は主として,超音波入射による液面変位測定,液面入射音圧と液面変位の関係の評価と,液面変位予測モデルの構築を行った. 超音波入射次の液面形状は,境界に作用する音響放射圧に起因する.音響放射圧は音圧の2乗に比例することから,液面変位は超音波トランスデューサの駆動電圧の2乗に比例すると考えられる.このことを確認するため,水中に超音波振動子を設置し,超音波放射時の液面変位測定を行った.その結果,液面変位は駆動電圧の2乗よりずれ,むしろ3乗に近い変化を見せた. この変位を予測する理論モデルを構築した.液面変形は音響放射圧,表面張力および重力のバランスで決定される.従来,微小変位を仮定したモデルを用いたが,ここでは大振幅変位を考慮したモデルとした.その結果,超音波の入射音圧の増加とともに,水面変位は微小変位モデルより小さいな変位になることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
超音波による水面変位の測定を確認したこと,また,水面変位の大振幅特性を考慮した理論モデルでは予測とは異なり,実験結果を説明するのに不十分であることを確認した点は評価される. 一方,当初,液面変位の精密測定システムの構築を予定していたが,実験中に超音波プローブの破損や,測定基準とするハイドロホンの破損のため,十分な測定を実施できなかった.この点については次年度以降の課題とした. 以上の点から,現状では「やや遅れている」と判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度,実施できなかった変位測定の精密化を推進する.その上で,入射音圧と液面変位の関係や液面形状を評価し,音響放射圧を推定する.なお,液面近傍の音圧分布についての評価も行う.
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Causes of Carryover |
実験の進捗の影響で,予定していた胃体部の消耗品を購入しなかったため,次年度使用額が生じた. 次年度にこれら消耗品も購入し,研究を進める.
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