2019 Fiscal Year Research-status Report
直列粘弾性アクチュエータを用いた歩行者用アクティブダミーの開発
Project/Area Number |
19K04270
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
成川 輝真 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (50424205)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 直列粘弾性アクチュエータ / 受動特性 / 制御性能 |
Outline of Annual Research Achievements |
能動的に動作可能な歩行者ダミーを開発し衝突安全試験への利用を目指す本研究において、本年度はダミーに要求される受動特性と所望の動作を実現する制御性能の両立を可能とするアクチュエータの設計が目標である。本研究開始前までにアクチュエータと出力軸の間に弾性要素を直列に配置した直列弾性アクチュエータを既に試作しており、本年度はこれを発展させ、直列弾性アクチュエータに粘性要素を追加した直列粘弾性アクチュエータの受動特性を検証し、次年度以降に予定している子供を模擬したアクティブダミーの製作に向けて、所望の出力を確保しつつ軽量かつ小型な直列粘弾性アクチュエータの設計を行った。直列粘弾性アクチュエータを用いたロボットの受動特性や制御性能はアクチュエータに直列に配置された弾性・粘性要素に大きく依存する。特に、歩行者の交通事故を想定し、短期間に大きな力が作用したときの直列粘弾性アクチュエータの特性を明確にし、所望の特性を得るために、質量5kgのインパクタを衝突させるインパクタ試験を想定したシミュレーションを行い、直列粘弾性アクチュエータのばね定数と減衰係数が制御性能と受動特性に与える影響について詳細に解析した。また、次年度に実施予定であった直列粘弾性アクチュエータを配置した子供用ダミーの歩行制御方法についても検討を進めた。これにより、子供用ダミーに要求される直列粘弾性アクチュエータの発生トルクや動作角度、角速度について事前に検討することが可能となり、次年度以降のダミー製作を計画通りに進めることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
受動特性と所望の動作を実現する制御性能の両立を可能とするアクチュエータの設計を目標として、直列粘弾性アクチュエータの設計を行った。インパクタ試験を想定したシミュレーションを行い、直列粘弾性アクチュエータのばね定数と減衰係数が制御性能と受動特性に与える影響について詳細に解析した。現時点では実機を用いたインパクタ試験の実施までには至っていないが、本年度予定していた直列粘弾性アクチュエータの受動特性と制御性能については十分な知見が得られている。また、当初の計画では次年度に実施予定であった直列粘弾性アクチュエータを配置した子供用ダミーの歩行制御方法について本年度中に検討を進めることで、次年度以降のダミー製作を計画通りに行うことができる見込みである。したがって、現時点ではおおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は子供を模擬したアクティブダミーを製作するために、直列粘弾性アクチュエータを用いたロボットを製作する。その後、歩行動作が可能なダミーを用いて衝突実験を行い、歩行動作の有無や衝突時の姿勢変化による傷害値の差異を明らかにすることで、本研究で開発した歩行者用アクティブダミーの有用性を示す。
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Causes of Carryover |
本年度は実機を用いたインパクタ試験の実施までには至っていないため次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせて直列粘弾性アクチュエータを用いたロボットの製作に使用する計画である。
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