2020 Fiscal Year Research-status Report
普及価格帯の超小型モビリティ創生のための対乗用車衝突安全性能の研究
Project/Area Number |
19K04280
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
槇 徹雄 東京都市大学, 理工学部, 教授 (20465363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大賀 涼 科学警察研究所, 交通科学部, 室長 (50392262)
櫻井 俊彰 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (80610047)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超小型モビリティ(ミニカー) / 衝突安全性 / 車対車前面衝突 / 車体構造 / 乗員傷害 / コンピュータ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
道路交通法施行令第22条に定められるミニカーは,小型で小回りが利くことや駐停車スペースを広くとらないことから,都心部の移動手段や小口配達用の車両として適していると評価されている.一方で,ミニカーの衝突安全性に関しては法規において安全基準が定められておらず,検討が進められているとは言えない.将来,ミニカーの普及に伴って事故が発生する場合,普通乗用車との混合交通下では普通自動車との事故が多数想定されるため,ミニカー対普通自動車の衝突安全性についても論議する必要がある.特に,ミニカーは普通自動車に比べてフロントメンバの位置が低くなる構造のため,普通自動車との前面衝突時にコンパチビリティ性能が充分でなく,ミニカー乗員の傷害リスクが高くなる可能性がある. 研究初年度は衝突速度30km/h,乗員ダミー非搭載の条件で実験を行い,CAEを用いた再現解析との比較で実車実験の車体変形,減速度との対応が十分ではなかった.研究二年度は衝突速度を40km/hまで増加させ,さらに乗員ダミーを搭載して実験を行い,速度,質量の違いによる車体変形量の変化および乗員挙動を把握した.両条件において,ステアリングの後退量に大きな変化は見られなかったが,速度40km/hでは乗員ダミーが前方へ大きく移動することで内装部品と強く接触した.CAE解析では車体変形,減速度の再現を行い解析モデルの妥当性を大幅に向上できた.また,車体のピッチングの再現や,対車両側面衝突時の車体構造の最適化や乗員傷害値低減の方向性を明確にし,Bピラーの補剛が腰部傷害値の低減に有効であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来なら高度な衝突実験が可能な日本自動車研究所に委託し,実施すべきであるが,予算の都合上車両対車両実験を研究分担者の科学警察研究所内で学生アルバイトの協力により実施できた.また,乗員傷害を計測する場合に必要となるダミーにおいて,衝突実験時ダミーの破壊の可能性が予測されたため,ダミー破壊とならない低速での予備実験を行うなど初年度は傷害値を計測可能なダミーを搭載せずに実験している. 初年度の実験でダミー損傷の可能性が低いことが推察されたため,次年度はダミーを搭載しさらに衝突速度を増加させた本実験を実施した.解析についても妥当性が向上している.
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Strategy for Future Research Activity |
三年度目には,衝突速度を法規基準に近づけたリアルワールド条件での第三回目の車対車の実験を実施し,その後解析による衝突性能向上把握を実施する予定である. 特にミニカーの車体フレーム構造を再現した有限要素モデル改善の方向性を明確化し,セダン車モデルとのリアルワールドに近い衝突解析を行うことで,衝突実験の車体変形量,車両減速度および車体のピッチングの再現まで対応する予定である.また,構造内の荷重伝達を定量的に表現する指標であるUstarを用いた車体の構造改善方法の検討を行うことを考えている.
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Causes of Carryover |
全体額が減額されたため,科学研究所内での衝突実験を実施せざるを得ないなど全体計画が大きく変更される結果となっている. 次年度も科学研究所内での衝突実験を実施し,有限要素解析による机上検討を中心とした形で対応する予定である.
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Research Products
(1 results)