2020 Fiscal Year Research-status Report
アフィン写像に基づく行列方程式の低次元解法と磁気浮上系への応用
Project/Area Number |
19K04282
|
Research Institution | Daido University |
Principal Investigator |
不破 勝彦 大同大学, 情報学部, 教授 (70324481)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 同伴形式 / 行列方程式 / 連立方程式 / 漸化式 / アフィン写像 |
Outline of Annual Research Achievements |
計算機の起動に関する不具合及びソフトウエアのインストールに関する不具合が解決されたので、令和2年度は令和元年度に残された問題である連立方程式およびアフィン写像の定式化の真偽について検討し、数値計算を通じて定式化の妥当性を確認した。そして、令和2年度の計画であった「連続時間系および離散時間系に対して、行列方程式の可解条件と連立方程式のそれとの関係を明らかにし、解行列の求解アルゴリズムを構築する」ことについて研究を進めた。具体的には以下のとおりである。 1)連立方程式の可解条件の導出…連続時間系において、連立方程式が一意解をもつためにはシステム行列の固有値が原点に対して対象な一組を持たないことが得られた。他方、離散時間系において、昨年度導出した連立方程式の解の一意性はシステム行列の固有値の積が1ではないことが得られた。 2)求解アルゴリズムの構築とツールの製作…行列方程式の解行列を得るため、連立方程式およびアフィン写像に基づく2段階の求解アルゴリズムを構築した。具体的には、解行列の1行目は連立方程式を解いて得られ、2行目以降についてはその1行目のアフィン写像により求める手続きとなっている。連続時間系においては、係数行列に座標変換を施すとHurwitz行列になることから、比較的スパースとなり、昨年度の導出した漸化式を用いて再帰的なアルゴリズムに基づき解を得るものとする。離散時間系に対しては、係数行列は座標変換を施してもHurwitz行列にはならず密行列となる。本年度購入した計算専用のプロセッサと数値計算ソフトウエアを用いて、可能な限り高精度な計算を行い、条件数を見積りながら解行列を得るものとする。これら解行列の計算精度については確認中である。併せて、解行列から得られる制御則が実時間制御ツールへの行列データ転送が可能となるかを本年度購入したPCIe-USB変換器を使って確認中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
つぎの3つがその理由である。 1.離散時間系における連立方程式の係数行列は、システムの特性多項式の係数を要素にもつ密行列になる。それゆえ、何かしらシステムの安定性と関連があるものと考えており、その考察に時間を費やしており、現在も考察中である。 2.求解アルゴリズムに基づく解行列の計算精度が比較的低い状態である。その原因の解明に時間を費やしており、現在も考察中である。 3.コロナ禍にあって、教育など研究以外のエフォートが高まった。遠隔での研究を実践する環境整備についても時間を費やした。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは、現在考察中である2つの問題に取り組みたい。離散時間系における連立方程式の係数行列の行列式には、システムの特性方程式の解の積を因子として含んでいる。これは、離散時間系の安定条件(解の積が1未満)と関連があるように考えられるため、解行列の符号を見積もりながら引き続き考察したい。他方、解行列の計算精度については、条件数を小さくする要因が特性方程式の解に関係するのかを数値的に検証して、原因について引き続き考察したい。 つぎに、令和3年度(2021年度)研究計画として、求解アルゴリズムを適用して、モード切り換え型制御系(MSC)の制御器設計アルゴリズムを構築し、現有の制御系CADを用いて制御器を設計する。MSCでは、2つの制御モードを切り替える際、切り換え後の制御系の出力応答波形ができるだけ早く零に収束するよう評価関数を最小化するために初期値補償が用いられる。その際に表れるのが行列方程式の解行列を用いた制御器である。従来の初期値補償では制御器を求める際、解行列を求める必要があった。しかしながら、制御器の設計には解行列の一部の要素のみが用いられる。それゆえ、アフィン写像から得られる一部の要素を用いて制御器の設計を行うことで従来法と比較して計算負荷が軽減されることが期待できるものと予想している。 また、得られた制御器を用いたMSCによる制御系の出力応答を計算機上および令和3年度申請予定の実時間制御ツール上のシミュレーションにより確認し、条件数に基づく解行列の計算精度と制御性能との関連を見積もりたいと考えている。その際、シミュレーションのため制御用ソフトウエアを令和3年度に申請予定である。
|
Research Products
(5 results)