2021 Fiscal Year Research-status Report
アフィン写像に基づく行列方程式の低次元解法と磁気浮上系への応用
Project/Area Number |
19K04282
|
Research Institution | Daido University |
Principal Investigator |
不破 勝彦 大同大学, 情報学部, 教授 (70324481)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 同伴形式 / 行列方程式 / 連立方程式 / 漸化式 / アフィン写像 |
Outline of Annual Research Achievements |
求解アルゴリズムを適用して、モード切り換え型制御系(MSC)の制御器設計アルゴリズムを構築し、現有の制御系CADを用いて制御器を設計した。その制御器を用いたMSCの出力応答を計算機上および令和3年度申請の実時間制御ツール上のシミュレーションにより確認した。具体的には以下のとおりである。 1)MSCの制御器設計:MSCでは、2つの制御モードを切り換える際、初期値補償を用いている。構築された制御器設計アルゴリズムでは、アフィン写像から得られる一部の要素を用いて初期値補償を実現するため、計算負荷が軽減される。 2)MSCの計算機上のシミュレーション検証:MSCの出力応答を計算機上のシミュレーションにより確認を行った。制御系が安定となるよう状態推定器を併合した状態フィードバック制御系を施している。 3)MSCの実時間制御ツール上のシミュレーション検証:実時間制御ツールによるシミュレーションを実施した。モードの切り換え時に残留振動が励起され、状態推定器を併合した状態フィードバック制御系では良好な制御性能が得られていない。そこで、モード切り換えをステップ外乱が制御系に混入されるととらえて、3つの制御方法による検討を進めた。1つ目は、MSCに加えて閉ループ系の安定化と同時に外乱零化(外乱抑制率零)を行う。磁気浮上モデルが虚軸上に零点をもつので、安定余裕のない設計になるため、設計法の改良が必要となる。2つ目は、状態推定器にハイゲイン補償器を付加して、ステップ外乱を推定および抑制する。ハイゲイン化により外乱の推定帯域は高められるが、反面閉ループ系の安定性が劣化するため、両者のトレードオフを図る設計を模索中である。3つ目は、状態推定器に外乱モデルを含めた外乱推定器としての拡張を行う。実時間制御ツールへの推定器実装のため、外乱モデルの次元を下げて外乱の推定帯域を高める工夫を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
つぎの3つがその理由である。 1.解行列の計算精度については、条件数を見積りながら行っているが、計算機を使った高精度計算(倍精度にするなど)には時間がかかるため、現在も考察中である。 2.外乱推定ならびに抑制問題に取り組んでおり、実験環境の問題もあって、外乱抑制のための補償器設計アルゴリズムをあらたに構築することに時間を費やした。 3.コロナ禍にあって、教育や校務分掌など研究以外のエフォートが高まった。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4年度(2022年度)研究計画として、提案したモード切り換え型制御系(MSC)の制御器設計アルゴリズムを、制御器を求める際の設計の工数、設計時間、出力応答から見積られる計算精度と制御性能の関係の視点から、従来法のMSCの制御器設計アルゴリズムの有用性を明らかにしたいと考える。その際に解決しなければならない問題として次の2つが挙げられる。 1)条件数に基づく解行列の計算精度と制御性能の関係:条件数は連立方程式の解法には依存しないので、問題の本質を失わないことを前提として、係数行列をスケール変換して特異値の変更を行うことを考察する。 2)外乱推定および抑制問題に対処する設計法の開発:実時間制御ツールによるシミュレーション結果が良好にならないと実験による有用性の検証も儘ならない。モードの切り換えをステップ外乱の印加ととらえ、それによって励起される振動の特性を同定し、その近似動特性をモデル化した上で改めて外乱推定を達成する補償器の設計法を開発したい。併せて、外乱零化を諦め、外乱抑制率が零ではない有限値になるよう設計仕様を緩和し、制御系に安定余裕を持たせて抑制率とのトレードオフを図るような設計としたい。 これらの問題が解決でき次第、実験による有用性の検証に入る。ただし、外乱や観測雑音の補償などを考慮するためには、実時間制御ツールに搭載する制御器の低次元化が問題となる。それゆえ、既存のディジタル信号処理装置も併用しながら、制御の役割を切り分けるなどの対策も講じる必要があると考えている。併せて、本年度は最終年度となるので、これまでに得られた成果を可能なかぎり発表できるよう準備を進めたい。そのための費用を令和4年度に申請予定である。
|
Research Products
(7 results)