2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of Micro Tactile Sensor Chip Including Pressure, Vibration, and Temperature Sensations
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19K04290
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
寒川 雅之 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (70403128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 健介 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (20446735)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 触覚センサ / 振動覚センサ / 温冷覚センサ / マイクロヒータ / PZT / ひずみゲージ / カンチレバー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は圧覚・振動覚・温冷覚を包含して検知できるマイクロ触覚センサチップの実現への足掛かりとして、まずは(1)強誘電体とひずみ抵抗のカンチレバー上一体形成、(2)カンチレバー構造の設計解析と試作・評価、および(3)ヒータ抵抗線パターン設計解析・材料検討を行った。下記にそれぞれの項目に関する実績の概要を述べる。 (1) Pt細線のひずみ抵抗と、強誘電体であるPZT薄膜キャパシタを同一マイクロカンチレバー上に形成し、圧力に対するひずみ抵抗の応答を得ることができたが、一方でPZTの強誘電特性は得られたものの、振動に対する応答を得ることができなかった。この要因として、絶縁層形成時のPZT特性劣化や、PZT部に発生する応力が不足していることが考えられる。前者についてはアニール処理の追加で、後者についてはカンチレバーの再設計により応力が集中する構造にすることでそれぞれ改善を検討している。 (2) カンチレバーについて新たにひずみ抵抗と強誘電体キャパシタを集積化した設計と有限要素法による解析を行った。人間の触覚のうちパチニ小体による感度は200~300Hz程度で最も高くなるとされているが、面積と厚みを最適化することでそれに近い共振周波数を持つカンチレバーを設計できた。また、前項の結果でも課題となっているが、検知部を応力の集中するカンチレバー固定端近傍に形成することで、感度が大幅に向上することを解析と実験により確認した。 (3) チップ上にヒータ抵抗を形成した場合の温度分布を解析した結果、人の体温(40℃弱)程度までセンサ全体を加熱することが可能であり、全体の温度差は1.2℃以内に収まった。また、ヒータ抵抗が1つよりも複数(3つ)設けた方がチップ上の温度分布は均一になった。この知見をもとにヒータを集積化したチップの試作を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた強誘電体とひずみ抵抗のカンチレバー上一体形成と、新たなカンチレバーの設計と周波数特性の解析、およびマイクロヒータ抵抗の設計と温度分布の解析については順調に実施することができ、おおむね順調に進展しているものと考えている。一体形成したカンチレバー上で強誘電体の特性は得られたものの、振動に対する応答が得られなかったため、対策が必要である。原因としてプロセス中の特性劣化や、カンチレバー上の応力分布特性の課題がある。特性劣化についてはアニール処理を追加することで改善を見込んでいる。一方、応力分布については、圧力検知部であるひずみ抵抗については新たな設計により検知部に作用する応力を大きくすることで、最大でこれまでの23倍もの高感度化を達成しており、強誘電体による振動検知部についても同様に応力が大きく働く設計とすることにより改善が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として、まずは圧力検知部と振動検知部を一体形成したカンチレバーにより、圧力の検知はできたものの振動の検知ができておらず、設計とプロセス改良により双方の検知を目指す。並行して、初年度に設計解析を行ったマイクロヒータをセンサチップ上に形成し、測温抵抗と焦電効果による検知が可能かどうか検証する。また、カンチレバーを封止するエラストマの材料や形状について、振動の周波数特性や熱伝導性の面から、有限要素法による解析を合わせて検討していく。
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Research Products
(16 results)