2020 Fiscal Year Research-status Report
空気式ウェアラブルアクチュエータを用いた衣服状トレーニング装置の開発
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19K04294
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
佐々木 大輔 香川大学, 創造工学部, 准教授 (50372686)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Wearable robot / Soft actuator / Pneumatic |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度において,提案した摩擦ダンパーの原理確認を行えたため,本年度は摩擦ダンパーおよびアクチュエータによって足首関節の底背屈のみ運動の制限を可能とする独自の多節リンク機構を使用した外骨格フレーム構造「足首関節用低拘束外骨格」を開発し,その基本特性を検証した. 開発した低拘束式外骨格は,外骨格両側面に2節リンク機構を設置し,リンク機構は底背屈運動の回転軸を中心に回転運動が可能な構造としている.また,リンク機構が屈曲・伸長することで他の動作を行った場合においても外骨格はその運動に追随することができる.そのため,前額面上の回転運動となる内外反動作に対しての拘束感を軽減できる.底背屈運動に関しては,本年度は外部からの能動的介入による効果を検証するためにMcKibben型空気圧ゴム人工筋を外骨格前後の両側面に取り付けることで,人工筋により底背屈方向にトルクを加える事ができる.また,底背屈以外の動作はアクチュエータを取り付けないことで前述のように外骨格による拘束を低減することで通常歩行と同様の歩容を実現できる.使用した人工筋の自然長は,240[mm]であり,底背屈,内外反の可動域は,それぞれ ±30度,±10度である.これらの可動域は,人の歩行周期における関節角度(底背屈,内外反)に基づいて設計した. 装置単体の矯正トルク評価実験では,装置の自重が加わらないよう,装置の矢状面を地面に対して水平に設置し測定を行った.本装置の自重トルクを関節角度と質量と重心位置により算出すると,20度背屈時に底屈方向に対して0.26[Nm]発生する.現在の装置の構造では,発生可能なトルクは装置の角度から幾何学的に求まる人工筋の全長に依存することになっていることから,次年度では摩擦ダンパーと組み合わせる事で問題解決を図る.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の研究成果を踏まえ,本年度は,人間とのインターフェース部に関して開発を行った.多節リンク機構を用いた低拘束式外骨格を使用する事で,例えばスキーブーツを装着し歩行したときのような,足首に過度な拘束が生じ自然な歩容が困難になると言うような問題もなく,対象としている底背屈運動のみに外力を印加することが可能な外骨格構造を実現できている. 上述のように装置単体の矯正トルク評価実験から,20度背屈時に底屈方向に対して0.26[Nm]発生することが明らかとなったが,これは,歩容の矯正には十分なトルクを発生しているとは言いがたい.しかし,今回は底背屈運動への外力印加性能を評価するため,能動的な力を発生可能なMcKibben型空気圧ゴム人工筋を使用している.McKibben型空気圧ゴム人工筋の発生力特性の変位依存性から,発生トルクが装置の角度つまり人工筋の全長に依存することは,装置設計段階から想定している.この点は,摩擦ダンパーと併用することで,トルクを発生しない場合は摩擦ダンパーにより人工筋は伸長状態を維持し,トルク発生時に最大の力を発生させることで解決ができると考えている. 年度開始から初夏にかけコロナウイルス感染症対策のための研究遅延なども発生したが,上述のようにインターフェース部の構築を行うとともに,摩擦ダンパーの有用性を検証する前段階としての人工筋による装置構築が行えたことから,上記のように研究の進捗状況を自己評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
McKibben型空気圧ゴム人工筋の発生力特性の変位依存性から,歩容の矯正に必要なトルクを従来構成では実現困難な点が明らかとなった.この点を,摩擦ダンパーと併用することで解決を図ることで,本研究課題で開発する摩擦ダンパーの有効性を明らかとする.2019年度の研究成果により,摩擦ダンパーの原理確認や基本性能の検証は行えており本装置に使用するのに十分な制動・拘束力を発生できることは確認できるものの,外骨格構造に取り付けるためにはさらなる小型化が課題となっている.そのため,基礎的な構造はこれまでの研究成果を活用するものの,小型化に向けた構造検討が今年度の課題となっている. ベルトの巻き取り機構やベルトそのもののサイズが,外骨格に使用する場合に相対的に大型となっている原因であることから,巻き取り機構の動力伝達部をより小型の歯車機構とする,ナイロンベルト部をワイヤーに変更するなどの方策をとることで小型化することを現時点では検討している. また,摩擦ダンパーと人工筋の制御タイミング,制御手法に関しても検討が必要であり摩擦ダンパーの小型化を実現した後,装着実験を通じてこれらの構築を行う予定である.ただし,全ての部位においてダンパーと人工筋の併用を想定しているわけではなく,装置の簡略化のため必要最低限の使用にとどめるため,この点においても装着実験を通じて矯正効果を維持できる最小・最適な装置構成についても検討が必要と考えている.
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の拡大にともない,2020年度に参加を予定していた国際会議が2021年に延期されたことならびに,身体計測用システムのハードおよびソフトウェアの価格が当初見積もり時と変更になっていたため.
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Research Products
(2 results)